天然石(粘板岩)の屋根の家

クールーフは、天然石の粘板岩を独自の方法で葺く屋根です。

石屋根らしい重厚な外観を持ちながら、一般的な平瓦より約30%軽く施工できるとされています。

さらに、石の隙間を利用して屋根部分の熱を自然の風で排出する仕組みがあり、「涼しい屋根」を意味するクールーフと名付けられました。この独自の屋根工法は、2004年に特許を取得しています。

結論からいうと、クールーフは、
天然石の耐候性、瓦より軽い構造、風を利用した排熱効果を組み合わせた屋根です。

ただし、風がないときには排熱効果が小さく、屋根全体が点検不要になるわけでもありません。特徴と注意点の両方を理解したうえで検討することが大切です。

クールーフとは天然の粘板岩を使った石屋根

天然石の屋根が葺かれた東京駅舎
東京駅舎の屋根も粘板岩

クールーフとは、無添加住宅が採用している天然石屋根の名称です。屋根材には、薄い板状に加工しやすい粘板岩が使われています。

一般的な化粧スレートとは、見た目が似ていても原料や性質が異なります。

粘板岩とはどのような天然石?

粘板岩の上に置かれた唐辛子
粘板岩の上に料理が置かれたりする

粘板岩は、泥質の堆積物が地下で圧力や熱を受けて形成された岩石です。層に沿って薄く割れる性質があるため、板状に加工して屋根材や壁材として利用されてきました。

粘板岩を薄い屋根材に加工したものは「天然スレート」とも呼ばれます。ヨーロッパでは古くから建築に使われ、数百年を経た建物にも石屋根が残っていることが確認されています。

さらに天然石なので、一枚ごとに色や模様、表面の凹凸が異なります。この不均一さが、工業製品にはない自然な表情を生み出します。

ヨーロッパの古い街並みで見れる天然石の屋根の家
ヨーロッパの古い街並みの家も天然石

化粧スレートとは材料が異なる

日本の住宅で「スレート屋根」と呼ばれるものの多くは、セメントなどを主原料とした化粧スレートです。

クールーフに使われるのは、塗装されたセメント系屋根材ではなく、天然の粘板岩です。そのため、表面の塗膜によって石の色をつくっているわけではありません。

比較項目クールーフ一般的な化粧スレート一般的な平瓦
主な材料天然の粘板岩セメントや繊維など粘土など
外観一枚ごとに色や模様が異なる比較的均一製品によって異なる
屋根の重さ平瓦より約30%軽いとされる比較的軽い製品が多いクールーフより重い傾向
表面塗装石自体への塗り替えは基本的に不要再塗装が必要になる場合がある種類によって異なる
涼しさへの工夫石の隙間を利用して熱を自然換気製品や屋根構成による屋根構成や通気方法による
主な特徴天然石の耐候性と独自工法流通量が多く選びやすい重厚感と耐久性

クールーフは屋根材の中で最も軽いわけではありません。

金属屋根や一部の化粧スレートより重い可能性はありますが、天然石でありながら平瓦より軽いことが特徴です。

クールーフはなぜ涼しい?特許を取得した独自工法

クールーフの「クール」は、単に商品名の印象として付けられたものではありません。

天然石を引っ掛けて施工し、石葺きの隙間に風を通すことで、屋根部分にたまる熱を排出しやすくする仕組みが採用されています。

クールーフ(天然石の屋根)の涼しくなる仕組みのイラスト
株式会社無添加住宅HPより引用
クールーフ(天然石の屋根)と一般的なスレート屋根の比較表
株式会社無添加住宅HPより引用

石の隙間を利用して熱を自然換気する

一般的な屋根では、太陽の熱を受けた屋根材が高温になり、その熱が屋根の下地や屋根裏へ伝わります。

クールーフでは、独自の工法によって生まれる石と下地の間の空間を利用し、自然の風で屋根部分の熱を排出します。無添加住宅は、この自然換気によって従来の屋根以上の涼しさを実現すると説明しています。

熱を屋根の下へため込むのではなく、外へ逃がしやすくすることが、クールーフの涼しさのポイントです。

無風状態では大きな差が出ない

クールーフの排熱効果は、風の力を利用しています。そのため、風が強い日も無風の日も、同じ効果が得られるわけではありません。

無添加住宅が掲載している測定結果では、無風状態では温度差がほとんど見られなかった一方、約2.5m/秒の風がある条件では、屋根表面まで大きな温度差が確認されたとされています。

つまり、クールーフは石そのものが室内を冷やす屋根ではありません。自然の風を利用して、屋根にたまる熱を排出しやすくする屋根工法です。

そのため、クールーフを採用しても、断熱材や屋根裏の換気、窓の日射対策、冷房が不要になるわけではありません。住宅全体の暑さ対策と組み合わせて考える必要があります。

クールーフ工法は2004年に特許を取得

無添加住宅の公式沿革には、2004年7月に「屋根(クールーフ工法)」の特許を取得したことが記載されています。無添加住宅の代理店資料では、特許第3577662号として紹介されています。

特許を取得した中心的な仕組みは、天然石を独自の方法で引っ掛けて施工する屋根工法です。

石を広い面積で使い、重なりを少なくすることで屋根重量を抑えながら、石の隙間を排熱に利用します。単に粘板岩を屋根に載せるのではなく、軽さと涼しさを両立させる施工方法にクールーフの特徴があります。

クールーフが瓦より軽く、長持ちするといわれる理由

天然石と聞くと、非常に重い屋根を想像するかもしれません。しかし、クールーフは独自の引っ掛け工法によって、一般的な平瓦より軽く施工できることがポイントです。

また、粘板岩そのものに色を塗って仕上げているわけではないため、塗膜の劣化を理由とした定期的な塗り替えを抑えられることも特徴です。

平瓦より約30%軽く施工できる

クールーフでは、比較的大きな粘板岩を引っ掛けて葺くため、石同士の重なり部分を少なくできます。

無添加住宅によると、この独自工法によって、現在普及している平瓦より約30%軽く施工できるとされています。

屋根の重量を抑えることは、建物上部にかかる荷重を減らすことにつながります。ただし、耐震性は屋根材だけで決まるものではありません。

建物の構造、壁の配置、基礎、接合方法などを含めた構造計算によって判断する必要があります。「瓦より軽いから自動的に耐震住宅になる」という意味ではない点に注意しましょう。

天然石なので塗装の塗り替えが基本的に不要

化粧スレートなどの塗装された屋根材は、経年によって表面の塗膜が劣化し、再塗装が必要になることがあります。

クールーフの粘板岩は、石そのものの色や風合いを利用する屋根材です。無添加住宅は、化粧スレートのような塗装メンテナンスを必要としないことを特徴として挙げています。

「クールーフが長持ちする」といわれる大きな理由は、表面の塗膜を維持するための定期的な塗り替えを抑えられることです。

外壁塗装工事の際に足場から見るkクールーフ(天然石の屋根)
外壁塗装と雨樋交換工事
クールーフは問題なし

屋根全体がメンテナンス不要になるわけではない

粘板岩自体が長持ちしても、住宅の屋根は石だけで構成されているわけではありません。

屋根には、石を固定する部材、下葺き材、水切り、棟や谷の金属部材、雨どいなども使われます。そのため、石の塗り替えが不要でも、屋根全体の定期点検は必要です。

これは公式情報から屋根構成を踏まえた判断ですが、クールーフは「何もしなくても永久に使える屋根」ではなく、天然石の塗装負担を抑えながら、周辺部材を点検して長く使う屋根と考えるのが適切です。

それでも、一般的なスレート屋根はやはり定期的に多額な塗装工事が必要になります。
10年〜15年周期で屋根塗装をすることで発生する費用と比較してみることをお勧めします。

施工会社の技術と点検体制も重要

クールーフは、一般的な屋根材とは異なる独自の引っ掛け工法で施工します。

石の配置や固定方法、屋根の隙間、雨水を排出する構成が適切でなければ、本来の性能を十分に発揮できません。

採用するときは、次の点を確認しましょう。

  • クールーフの施工実績があるか
  • 雨仕舞いと排水方法を説明できるか
  • 屋根の重量を構造設計へ反映しているか
  • 台風や積雪など地域の条件に対応できるか
  • 完成後の点検や部分補修に対応できるか

初期費用だけでなく、将来誰が点検・修理するのかまで確認することが、長く使うためのポイントです。

まとめ

クールーフは、天然石の粘板岩を独自の引っ掛け工法で施工する屋根です。

石屋根の耐候性を活かしながら、平瓦より屋根重量を抑え、石の隙間に自然の風を通して熱を排出する仕組みを持っています。このクールーフ工法は、2004年に特許を取得しています。

記事の要点は次のとおりです。

  • クールーフは粘板岩を使った天然石屋根
  • 粘板岩は薄い板状に加工しやすい天然スレート
  • 独自の引っ掛け工法は2004年に特許を取得
  • 石の隙間に風を通し、屋根部分の熱を自然換気する
  • 無風状態では涼しさの差が小さくなる
  • 一般的な平瓦より約30%軽く施工できる
  • 天然石なので、石自体の再塗装は基本的に不要
  • 周辺部材を含めた屋根全体の定期点検は必要

クールーフの魅力は、単に天然石を使っていることではありません。軽さ、排熱、耐候性を独自の工法で組み合わせていることにあります。

採用を検討するときは、「石だから長持ちする」「クールーフだから必ず涼しい」と判断せず、建築地の風や日射、断熱計画、施工会社の実績まで確認しましょう。

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この記事を書いた人

中川 高士

中川 高士(あまねこう代表)

大手ハウスメーカーから地域ビルダー、小規模工務店まで30年以上の建築経験を持つ。

営業から現場管理まで一貫して携わり、現在は京都で自然素材を活かした住まいづくりを提案。

10年後に「この家でよかった」
と思える暮らしが増えることで、地域が豊かになることを目指す。

【保有資格・公的な役職】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産評価審査委員会委員

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