
住み替えなどで今まで住んでいた家が空いたとき、
「すぐ売るのはもったいないから、とりあえず貸しておこう」
と考えることがあると思います。
家賃収入が得られるので、一つの選択肢として間違っているわけではありません。
ただし、将来その家を売る可能性があるなら、知っておきたい税金のルールがあります。
それが、マイホームを売ったときに使える「3,000万円の特別控除」です。
この制度には期限があり、その期限を過ぎてから売却すると、同じ価格で売ったとしても税額が大きく変わる可能性があります。
みなさんこんにちは。京都市で住まいづくりを手がける「あまねこう」です。
今回はマイホーム売却に関する税金のお話です。
マイホーム売却の「3,000万円特別控除」とは?
自分が住んでいたマイホームを売却して利益が出た場合、その利益から最高3,000万円まで差し引いひいてくれる制度があります。
正式には、
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」
といいます。
根拠となるのは租税特別措置法第35条です。
国税庁のホームページにも掲載されています。マイホームを売った場合には、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除できるとしています。
ここで少し注意したいのが、「売却価格から3,000万円を引く」のではないことです。
不動産を売ったときの譲渡所得という利益は、
売却価格 −(取得費+売却にかかった費用)
という感じで計算します。
その譲渡所得から最高3,000万円を控除する制度です。
今住んでいない家でも3,000万円控除は使える

「もう引っ越してしまったから使えないのでは?」
と思うかもしれません。
実は、以前住んでいた家でも一定期間内なら対象になります。
住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
に売却すれば、要件を満たすことができるとしています。
例えば、2026年6月にその家から引っ越したとします。
3年を経過するのは2029年6月。
したがって、売却期限は原則として、
2029年12月31日となるわけです。
「退去してからきっちり3年以内」ではなく、3年を経過する日の属する年の年末までというところがポイントです。
引っ越したあとに家を貸しても大丈夫?
ここが意外と知られていません。
結論からいうと、家を貸したからといって、それだけで3,000万円控除が使えなくなるわけではありません。
以前住んでいた家について、住まなくなったあとに「どのような用途に使用してもかまわない」とされています。
つまり、
自宅として住む
↓
新居へ引っ越す
↓
旧居を賃貸する
↓
期限内に売却する
という流れでも、その他の要件を満たせば3,000万円特別控除を利用できる可能性があります。
問題になるのは、貸したことよりも売却する時期です。
貸したまま控除期限を過ぎるとどうなる?
今回の一番のポイントはこれです。
例えば、
「家賃も入ってくるし、しばらく貸しておこう」
と考えているうちに、3,000万円特別控除の期限を過ぎてしまったとします。
その後に売却して利益が出ても、原則としてこの3,000万円控除は使えません。
すると、その利益に対して通常の不動産譲渡所得として税金がかかります。
土地・建物の売却では、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、基本税率は、
- 所得税15%
- 住民税5%
- さらに復興特別所得税
となります。
実質的には約20.315%です。
簡単に説明してみます。
例えば、取得費や売却費用を差し引いた譲渡所得が3,000万円だったとします。
3,000万円特別控除が使えれば、課税譲渡所得は0円になる可能性があります。
一方、期限を過ぎて控除が使えず、長期譲渡所得として課税されるなら、単純計算では税額は約609万円です。
同じ家を同じ価格で売っても、売る時期によって数百万円単位の差が出る可能性があるということです。
※実際の譲渡所得や税額は取得費、建物の減価償却、売却費用などによって変わります。
夫婦共有なら3,000万円+3,000万円=6,000万円?
これもよく聞かれるところです。
共有名義のマイホームの場合、国税庁は共有者ごとに3,000万円特別控除の適用を判定するとしています。
つまり、夫婦それぞれが建物を共有し、それぞれがこの特例の要件を満たしていれば、
夫:最高3,000万円
妻:最高3,000万円
となり、結果として夫婦合計で最高6,000万円まで控除できるケースがあります。
ただし、
共有なら必ず6,000万円
という意味ではありません。
譲渡所得は、それぞれの所有持分に応じて計算します。
また、例えば家屋は夫だけの所有で、土地だけ夫婦共有という場合、妻も当然3,000万円控除を使えるわけではありません。家屋と土地の所有者が異なるケースには別の要件があります。
「夫婦名義だから6,000万円」と単純に判断しないことが大切です。
10年以上所有しているマイホームには軽減税率もある
さらに、売った年の1月1日時点でマイホームの所有期間が10年を超えているなど一定の要件を満たす場合には、「軽減税率の特例」が使えることがあります。
この制度は、3,000万円特別控除と併用できます。
3,000万円控除後に残った課税長期譲渡所得のうち6,000万円までの部分については、
- 所得税10%
- 住民税4%
という軽減税率があります。
ただし、この特例についても以前住んでいた住宅なら、原則として住まなくなってから一定期間内に売る必要があります。
「売るか、貸すか」は税金まで含めて考える
住み替えで家が空いたとき、
「売る」
「貸す」
のどちらが正解というわけではありません。
賃貸にすれば家賃収入を得られるメリットがあります。
一方で、その間に、
居住用財産として売却できる税制上の期限が進んでいる
ことは知っておきたいところです。
特に、
「とりあえず5年くらい貸して、そのあと売ればいい」
と考えている場合には注意が必要です。
数年間の家賃収入だけを見るのではなく、
今売った場合の税金
貸した場合の家賃収入
維持管理費
固定資産税
将来売却した場合の譲渡所得税
まで含めて比較してみる必要があります。
期限後に売却しても利益が残るなら良いのですが、そうでないなら期限内に売却を考えた方が良いかもしれない、となるかもしれません。
マイホームを貸すか売るか迷ったときは、「いくらで貸せるか」「いくらで売れるか」だけでなく、いつまでなら居住用財産の特例が使えるのかも一緒に確認しておきたいところです。
※本記事は一般的な税制の考え方を紹介したものです。3,000万円特別控除の適用には、居住実態、過去の特例利用、売却先との関係など複数の要件があります。実際の売却では税務署または税理士へ確認してください。
京都市で家を建てるなら
地元の工務店へ
京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。
そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。
この記事を書いた人

中川 高士
中川 高士(あまねこう代表)
大手ハウスメーカーから地域ビルダー、小規模工務店まで30年以上の建築経験を持つ。
営業から現場管理まで一貫して携わり、現在は京都で自然素材を活かした住まいづくりを提案。
10年後に「この家でよかった」
と思える暮らしが増えることで、地域が豊かになることを目指す。
【保有資格・公的な役職】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産評価審査委員会委員
住まいづくりを整理する無料資料
「いえのもと」
情報が多すぎて迷いませんか?
「どんな家を建てるか」より、
まずは「どんな暮らしをしたいか」。
そんな考え方を整理するための
無料資料セットです。


住まいづくりで悩む方へ
「何を基準に考えればいいかわからない」
そんなときは、一緒に整理してみませんか。
お気軽にご相談ください。





