
住宅の工事現場をご覧になったことがある方々は、壁や天井に大きな黄色っぽい板を貼ってある場面を見たことがないでしょうか。
その板はきっと「石膏ボード」です。
完成するとクロスなどの仕上げ材の下に隠れてしまうので、普段の暮らしではまず目にすることがありません。
壁に穴を開けてしまった時…くらいでしょうか。
この石膏ボードは住宅の壁や天井をつくるうえで、とてもよく使われる材料です。
みなさんこんにちは。京都市で住まいづくりを手がける「あまねこう」です。
今回は、石膏ボードとはどんな材料なのか、なぜ住宅で使われているのか。そして、よく見かける9.5mmと12.5mmの違いについてご紹介します。
石膏ボードとは?

石膏ボードは、石膏を芯材にして、その両面を厚紙で包んだ板状の建材です。
「プラスターボード」と呼ばれることもあります。
住宅では、間柱や胴縁などでつくった下地の上に石膏ボードを張り、その上からクロスを貼ったり、漆喰などを塗ったりして壁を仕上げます。
つまり、私たちが普段見ている壁の表面ではなく、その一つ内側にある材料です。
以前ご紹介した間柱や胴縁が「骨組み」だとすれば、石膏ボードはその骨組みに張る「面」の部分と考えると分かりやすいと思います。
→『マンションリノベーションの間柱とは?27×40mm・27×60mmとLVL、赤松無垢材の違い』
→『胴縁とは?住宅の壁や天井に使う下地材の役割をわかりやすく解説』
なぜ住宅の壁に石膏ボードが使われるの?

石膏ボードが住宅でよく使われるのには、いくつか理由があります。簡単に解説します。
火に強い
石膏には結晶水が含まれています。
火災時に高温になると、その水分が水蒸気となって放出されるため、急激な温度上昇を抑える働きがあります。
そのため、石膏ボードは防火や耐火を考えるうえで使いやすい材料です。
壁を平らにつくりやすい
石膏ボードは大きな板状なので、下地へ張ることで平らな壁面をつくりやすくなります。
その上からクロスを貼れば、普段見ているきれいな室内壁になります。
加工しやすい
現場では、壁の寸法やコンセントの位置に合わせて石膏ボードを切って施工します。
木材などに比べて加工しやすく、住宅の複雑な形状にも対応しやすい材料です。
住宅で広く使われているのは、こうした施工性の良さも理由の一つです。
石膏ボードの9.5mmと12.5mmは何が違う?
石膏ボードには、いろいろな厚みがあります。
代表的なのは、
- 9.5mm
- 12.5mm
です。
数字だけを見ると3mmの違いですが、使われる場所や求められる性能によって選び分けられています。
9.5mmの石膏ボードは天井などで使われることが多い
9.5mmの石膏ボードは、12.5mmより薄く、その分軽い材料です。
そのため、住宅では天井の仕上げ下地として使われることがあります。
天井は頭上で施工するため、材料が軽いことは施工上の大変助かります。
ただし、「天井なら必ず9.5mm」というわけではありません。
建物の仕様や防火性能、仕上げ方法によって、使用するボードは変わるので実際の住まいづくりの際はご確認ください。
12.5mmは住宅の壁でよく使われる

施工されている様子
室内の壁では、12.5mmの石膏ボードを使うことが多くあります。
例えば、間柱の両側へ12.5mmの石膏ボードを張れば、
石膏ボード
↓
間柱
↓
石膏ボード
という一枚の間仕切り壁ができます。
ところで、防音や遮音などの壁の性能は石膏ボードの厚さでは決まりません。
間柱の寸法や、壁内部の断熱材・吸音材、石膏ボードの枚数、その他の要因によっても変わります。
石膏ボードを2枚張ることもある
住宅では、石膏ボードを一枚だけではなく、二枚重ねて張ることもあります。
例えば、
- 防火性能を高めたい
- 遮音性を高めたい
- 壁の強度を高めたい
といった場合です。
ただし、「二枚張れば必ず防音になる」という単純な話でもありません。
音は壁だけでなく、天井や床、建具、コンセント部分などからも伝わります。
石膏ボードには種類もある
石膏ボードは、厚さだけでなく種類もあります。
例えば、
- 一般的な石膏ボード
- 水まわりなどに使う耐水性を高めたボード
- 防火性能を高めた強化石膏ボード
などです。
洗面室やキッチン、火を使う場所など、その場所に必要な性能に合わせて使い分けます。
見た目は似ていますが、どこにでも同じ石膏ボードを使っているわけではありません。
石膏ボードだけではテレビや棚を固定できないこともある

石膏ボードについて知っておきたいのが、重量物の固定です。
石膏ボードは壁を仕上げるためには使いやすい材料ですが、壁掛けテレビや重い棚を直接支えるための材料ではありません。
そのため、重いものを取り付ける予定がある場所には、壁の中に合板や木材などの下地補強を入れておきます。
完成すると見えなくなる部分ですが、住み始めてからの使いやすさに大きく関係します。
壁掛けテレビや棚の下地については、以前の記事でも詳しくご紹介しています。
→『壁にテレビや棚を付けたいなら下地が必要?新築・リフォームで先に考えたいこと』
石膏ボードを見ると「壁のつくり方」が分かる
完成した家を見ると、壁はただ一枚の平らな面に見えます。
でも、その中には、
間柱があり、
必要なところには補強が入り、
その上に石膏ボードを張り、
さらにクロスなどで仕上げています。
9.5mmなのか12.5mmなのかという違いも、単に厚い・薄いという話ではありません。
天井なのか壁なのか。
防火性能が必要なのか。
どんな仕上げにするのか。
そうした条件によって材料を選んでいます。
完成すると見えなくなるからこそ、工事中に壁の中を見ると、家がどのようにつくられているのかがよく分かります。
仕上げ材だけではなく、その裏側に何が使われているのかを見ることも、住まいづくりでは面白いところだと思います。
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この記事を書いた人

中川 高士
中川 高士(あまねこう代表)
大手ハウスメーカーから地域ビルダー、小規模工務店まで30年以上の建築経験を持つ。
営業から現場管理まで一貫して携わり、現在は京都で自然素材を活かした住まいづくりを提案。
10年後に「この家でよかった」
と思える暮らしが増えることで、地域が豊かになることを目指す。
【保有資格・公的な役職】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産評価審査委員会委員
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