階段踊り場の三角部分を細い柱で施工した美しい納まり
折り返し階段:中央の柱の取り合いと納まり

みなさんこんにちは。京都市で家づくりを手掛ける「あまねこう」の中川です。

ブログを書こうとした際、ちょうどマンションのリノベーションの真っ最中でした。難しい取り合いをどう納めるか悩んでいて、そのままブログタイトルにしてしまいました。

さて、家づくりの打ち合わせや建築現場では、

「この部分の取り合いをどうするか」
「取り合いを確認します」といった言葉が使われます。

初めて聞くと、何を指しているのかわかりにくい建築用語です。

結論からいうと、
取り合いとは、床と壁、窓と外壁など、異なる部材や素材が接する部分のこと

建物には数え切れないほどの取り合いがあり、その処理によって見た目、デザインだけでなく、建物の性能にまで及ぶことがあります。

今回は、「取り合い」という建築用語だけに焦点を絞り、住宅のどこにあるのか、なぜ家づくりで重要なのかを具体例から解説します。

建築用語の「取り合い」とは?

取り合いとは、部材や材料が接する場所、またはその接点を表す建築用語です。

たとえば、床材と壁、窓枠と外壁、タイルとフローリングなど、材料が切り替わる場所はすべて取り合いと考えられます。

DAIKENの建築用語集でも、建物の異なる部材同士が接する部分や、その接点の仕上げ方法を「取り合い」と説明しています。

また異なる部材だけではなく、同じ部材でも取り合うことはあり得ます。

大工の細かい仕事が垣間見える玄関框の造作
直角にぶつかる玄関框の「取り合い」を
「留加工」で仕上げた「納まり」

家の中には取り合いがたくさんある

取り合いは、特別なデザインをした住宅だけにあるものではありません。

一般的な住宅でも、

  • フローリングと壁
  • 壁と天井
  • タイルとフローリング
  • キッチンと壁
  • 洗面台と壁
  • 窓枠と壁
  • 建具枠と壁

など、さまざまな場所に存在します。

つまり家づくりでは、一つの素材だけを見るのではなく、「その素材が隣の素材とどうつながるか」まで考える必要があるということです。

取り合いと納まりは何が違う?

取り合いと一緒によく使われる建築用語が「納まり」です。

取り合いは、異なる部材が接する「場所」を表します。一方、納まりは、その接点をどのように仕上げて成立させるかという考え方です。

たとえば、フローリングとタイルが接する部分は「取り合い」です。

その境目に金属の見切り材を入れるのか、段差をなくして直接つなぐのか、といった仕上げ方が「納まり」です。DAIKENの用語集でも、取り合いは異なる部材同士のジョイント部分として説明されています。

建築用語簡単な意味
取り合い異なる部材・素材が接する場所
納まり取り合い部分をどう仕上げるか
見切り異なる材料の境界をきれいに処理する部材や方法

「取り合い=場所」「納まり=その場所の仕上げ方」と考えると、理解しやすくなります。

家づくりでよく使われる「芯々・取り合い・納まり・天端・入隅/出隅」をまとめて確認したい方は、

打ち合わせで困らない建築用語5選」をご覧ください。

そちらの記事では建築用語全体を簡潔に紹介しています。本記事では「取り合い」だけを詳しく解説しています。

取り合いで家の見た目と使いやすさが変わる

取り合いは数センチ、場合によっては数ミリ程度の小さな部分です。

しかし、材料が切り替わる場所は目につきやすいため、処理の仕方によって空間全体の印象が変わります。また、水や汚れが集まりやすい場所では、使いやすさや耐久性にも関係します。

マンションリノベで設置したアイランドキッチン
石目調フロアと無垢フロアの取り合い

フローリングとタイルの取り合い

玄関やキッチン、洗面所などでは、フローリングとタイルが隣り合うことがあります。

このとき確認したいのが、二つの床材の厚みです。

厚みが違えば、そのまま施工すると段差ができます。そこで下地の高さを調整したり、境目に見切り材を入れたりして仕上げます。

完成後に、

「ここに金属のラインが入るとは思わなかった」

「少し段差ができるとは知らなかった」

とならないためにも、材料を選ぶ段階で取り合いを確認しておくことが大切です。

漆喰と木材の取り合い

無垢のフローリング、漆喰で仕上げた壁天井。無添加住宅のリビング。
漆喰(しっくい)と木部が取り合っている様子

自然素材の家では、漆喰の壁と無垢材の柱や梁が接することがあります。

木材は温度や湿度によってわずかに伸縮するため、硬い仕上げ材と接する場所では、その動きを考えた施工が必要です。

最初は隙間なく美しく見えても、素材の性質を考えずに仕上げると、時間が経ってから小さな隙間やひびが見えることがあります。

自然素材を使う家では、取り合いを「完成時だけきれいにする」のではなく、素材が動くことまで想定して考えることが重要です。

キッチンや洗面台と壁の取り合い

水を使う場所では、取り合いが掃除のしやすさにも関係します。

キッチンカウンターと壁の間に隙間があれば、水や油汚れが入り込みやすくなります。洗面台でも、水が壁側へ回ると汚れや劣化の原因になることがあります。

そこで、コーキング材を使ったり、壁材を立ち上げたりして処理します。

見た目だけを優先するのではなく、

「水はどこへ流れるのか」

「汚れたときに拭けるのか」

まで確認しておくと、暮らし始めてからの使いやすさが変わります。

外部の取り合いは雨漏りにも関係する

室内の取り合いではデザインや掃除のしやすさが気になりますが、建物の外側ではさらに重要な役割があります。

屋根、外壁、窓などの接点は、雨水が入り込みやすい場所だからです。

窓と外壁の取り合い

窓を取り付けるためには、外壁に開口部をつくります。

そのため、サッシと外壁の境目には、雨水を建物内部へ入れないための防水処理が必要です。

一般的には防水テープや透湿防水シート、シーリングなどを組み合わせて雨水の侵入を防ぎます。外観からはわずかな境目にしか見えませんが、住宅を長持ちさせるうえで重要な部分です。

窓と外壁の工事中の様子
窓と外壁、外壁と軒の取り合い施工

屋根と外壁の取り合い

屋根が壁とぶつかる場所も、代表的な取り合いです。

雨水は高い場所から低い場所へ流れるため、屋根と壁が接する位置では、流れてきた水をどこへ逃がすのか考える必要があります。

板金や防水シートなどを組み合わせ、建物内部へ水が回らないように施工します。

外部の取り合いでは、「きれいに見えるか」よりも先に、雨水を入れない・入った水を外へ逃がすという機能を成立させることが重要です。

バルコニーや庇との取り合い

バルコニー、庇、外壁など、建物から張り出した部分にも取り合いがあります。

こうした場所は、雨が直接当たるだけでなく、風によって水が押し込まれることもあります。

そのため、外部の取り合いは一つの材料だけで防水するのではなく、下地、防水層、板金、シーリングなどを組み合わせて考えます。

施主が施工方法をすべて覚える必要はありませんが、

「ここに入った雨水はどこへ流れますか?」

と聞いてみると、住宅会社の説明を理解しやすくなります。

家づくりの打ち合わせで取り合いを確認する方法

取り合いは、平面図だけでは完成形を想像しにくい部分です。

だからといって、施主がすべての詳細図を読めるようになる必要はありません。気になる場所だけ、完成後の見え方を確認すれば十分です。

素材が切り替わる場所を確認する

打ち合わせでは、まず異なる素材が接する場所を探します。

たとえば、

「フローリングとタイルの境目はどうなりますか?」

「漆喰と木の間には何か入りますか?」

「キッチンと壁の隙間はどう処理しますか?」

という質問です。

「取り合いはどうなりますか?」と専門用語を使わなくても問題ありません。

写真や実物で確認する

取り合いは、言葉だけで説明されてもイメージしにくいものです。

住宅会社に、

「同じ仕上げをした施工写真はありますか?」

と聞くとわかりやすくなります。

タイルと床の境目、巾木、建具枠などは、施工事例の写真を見るだけでも完成形を理解しやすくなります。

すべての取り合いにこだわる必要はない

住宅には非常に多くの取り合いがあります。

すべてを施主が指定すると、打ち合わせが複雑になりすぎます。

特に確認したいのは、

  • 毎日目に入る場所
  • 異なる素材が大きく切り替わる場所
  • 水を使う場所
  • 掃除しにくそうな場所
  • デザインにこだわりたい場所

です。

それ以外は設計者や現場監督、職人へ任せるという考え方でも問題ありません。

取り合いをどう美しく成立させるかという「納まり」について詳しく知りたい方は、「仕上がりの差はここで決まる|職人の技と“納まり”の美学」も参考になります。

まとめ

建築用語の「取り合い」とは、床と壁、窓と外壁など、異なる部材や素材が接する部分のことです。

取り合いそのものは小さな部分ですが、住宅の見た目、掃除のしやすさ、防水性などに関係します。

  • 取り合いは、異なる部材・素材が接する場所
  • 納まりは、その取り合いをどう仕上げるかという考え方
  • フローリングとタイルなど、素材が変わる場所でよく使われる
  • 水まわりでは掃除や防水まで考える
  • 外壁や窓の取り合いは雨漏り対策にも関係する
  • 打ち合わせでは完成写真や施工例を見せてもらうとわかりやすい

「取り合い」という言葉を覚える目的は、建築の専門家になることではありません。

家づくりの打ち合わせで気になる境目があったときに、「ここは完成したらどうなるの?」と確認できるようになることが大切です。

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この記事を書いた人

中川 高士

中川 高士(あまねこう代表)

大手ハウスメーカーから地域ビルダー、小規模工務店まで30年以上の建築経験を持つ。

営業から現場管理まで一貫して携わり、現在は京都で自然素材を活かした住まいづくりを提案。

10年後に「この家でよかった」
と思える暮らしが増えることで、地域が豊かになることを目指す。

【保有資格・公的な役職】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産評価審査委員会委員

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