
みなさんこんにちは。
京都市で住まいづくりを手掛ける「あまねこう」の中川です。
いや、しかし、今年の夏(2026年)も暑いです。この日記を書いている日は外気温40℃を超えています。
で、ちょっと思いつき筆をとりました
(キーボードを叩きました)
そんなわけで、今日は鍋の話です。
(暑いのに「鍋」の話です)
料理に使う、土鍋とアルミ鍋。
どちらも食材を温める道具ですが、温まり方と冷め方には違いがあります。
アルミ鍋は、火にかけると比較的早く温まります。
そして火を止めると、温度も下がりやすい。
一方、土鍋は温まるまでに少し時間がかかりますが、一度温まるとなかなか冷めません。
この違いは、夏の住まいを考えるときにも、少し似ているように思います。
家の中で温まるのは空気だけではありません
真夏の家では、室内の空気だけが暑くなっているわけではないんです。
床や壁、天井、建具、家具なども、少しずつ熱を持ちます。
コンクリートやタイルのような重い材料だけでなく、下地の石膏ボードや木材、テーブルや収納などの家具も、それぞれの量や性質に応じて熱を蓄えています。
冷房をつけると、室内の空気は比較的早く涼しくなります。
しかし、壁や床、家具がまだ熱を持っていれば、冷房を止めたあとに、その熱が再び室内へ出てきます。
「エアコンを切ったら、すぐに暑くなった」
というのは、空気は冷えていたけど、その他のものは熱いまま。家そのものはまだ冷えていなかった、ということです。
高断熱住宅は暑さも閉じ込めるのか

暑い夏が来ると、家づくりは断熱性能(だけ)が話題になります。
「断熱性能が高いと、暑くないんでしょ?」
とみんなが思うし、住宅業界も「我が社の断熱性能は…」みたいな説明が増えていきます。
断熱は、熱を消すものではありません。
屋外と室内の間で、熱が移動する速度を遅くするものです。
外から入る暑さを抑え、冷房でつくった涼しさを保ちやすくする。
これが高断熱住宅の長所です。
一方で、窓から強い日差しを入れ続け、床や壁、家具まで温めてしまえば、その熱も外へ逃げにくくなるわけです。
つまり、高断熱住宅は、
涼しい状態をつくれば、涼しさを保ちやすい。
暑い状態にしてしまうと、暑さは残りやすい。
という性質を持っています。
この点は、一度温まると冷めにくい土鍋に少し似ています。
昔の家はアルミ鍋のようなものだったのか
昔むかーしの茅葺き屋根の家や昔の木造住宅は、アルミ鍋のような家だったのではないか、そんな風にも思います。
現代の高断熱住宅と比べれば、外気温の変化に影響されやすい家です。
日中に外が暑くなれば、室内も暑くなりやすい。
反対に、夜になって外気温が下がれば、家の中の温度も下がりやすい。
その意味では、
温まりやすく、冷めやすい。
アルミ鍋に近い面があります。
ところで、昔の家を単純に「性能の低い家」と考えるのは違います。
深い軒で日差しを遮り、大きな開口部から風を通す。
縁側や屋根裏の空間を設け、強い日射を室内へ直接入れない。
昔の家には、外の環境を上手に利用して暑さをしのぐ工夫がありました。
茅葺き屋根にも厚みがあり、屋根から伝わる熱を抑える働きがあります。
そういう意味では、アルミ鍋というよりも、
外が涼しくなれば、ふたを開けて熱を逃がせる鍋
という表現が適切かな、と思います。
我ながら上手いこと言うなぁ、と思います。
今は夜になっても外が涼しくならない

昔の家が夜に冷めやすかったのは、建物のつくりだけが理由ではありません。
夜になると、外気温が下がっていたことも大きく関係しています。
外が涼しくなれば、窓を開けて風を通し、家の中に残った熱を外へ逃がせたわけです。
しかし、現在の京都では、夜になっても気温がなかなか下がらない日がほとんどです。
外の空気そのものが暑く、湿度も高ければ、窓を開けても家は十分に冷えません。
(コンクリートジャングルですね。古い…)
昔の家の知恵は大切です。
ただし、現在の気候にそのまま当てはめられるとは限りません。
夏の高断熱住宅は熱を入れないことが大切

高断熱住宅を土鍋にたとえるなら、暑くなった土鍋を後から冷ますよりも、最初から強い熱を加えないことが大切です。
家の場合、特に気をつけたいのが窓から入る日射です。
窓から差し込んだ日差しは、床や壁、家具を直接温めます。
夕方になってカーテンを閉めても、すでに床や家具が熱を持っていれば、その熱はしばらく室内へ放出されます。
そんなわけで、夏は断熱性能だけではなく、
- 軒や庇
- 外付けシェード
- すだれ
- 外付けブラインド
などを使い、窓の外側で日射を遮ることが重要です。
家が充分に暑くなってしまってから強く冷房するよりも、熱がたまる前から穏やかに冷房を使うほうが、室内の状態を安定させやすくなります。
土鍋のような家を暑いままにしない
昔の家は、外気の影響を受けやすい代わりに、外が涼しくなれば室内も冷めやすい家でした。
現代の高断熱住宅は、外気の影響を受けにくく、つくった室温を長く保ちやすい家です。
大切なのは、みなさんご自身のそれぞれの家の性質を理解することです。
高断熱住宅は、夏に暑い家ではありません。
外から熱を入れず、適切に冷房を使えば、少ないエネルギーで涼しさを保ちやすい家です。
ただし、窓から日差しを入れ、家全体が温まってしまうと、その熱が逃げずサウナのようになります。
暑くなった家を後から冷ますのではなく、家そのものを暑くしない。
土鍋とアルミ鍋の違いを考えていると、夏の住まいづくりで大切なことが、少し分かりやすくなりました。
なお、家の中に熱がたまる仕組みや、日射・家電・照明などが室温へ与える影響については、別の記事で詳しく解説しています。これはかなり参考になると思うのでぜひご参照ください。
→『夏はなぜ家の中が暑い?断熱だけでは防げない蓄熱と日射・内部発熱』
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京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
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この記事を書いた人

中川 高士
中川 高士(あまねこう代表)
大手ハウスメーカーから地域ビルダー、小規模工務店まで30年以上の建築経験を持つ。
営業から現場管理まで一貫して携わり、現在は京都で自然素材を活かした住まいづくりを提案。
10年後に「この家でよかった」
と思える暮らしが増えることで、地域が豊かになることを目指す。
【保有資格・公的な役職】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産評価審査委員会委員
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