
みなさんこんにちは。京都市で住まいづくりを手掛ける「あまねこう」の中川です。
今日の日記はちょっと長いです。
目次をつけておきますので読んでくださる方はご活用ください。
さてさて、国の住宅政策の指針となる「住生活基本計画」から、住まいの広さに関する目安がなくなった、という話題が出ていました。
早速調べてみました。本当でした。
実はこれまで国は、住宅の広さについて「最低居住面積水準」や「誘導居住面積水準」という考え方を示してきました。
たとえば、最低居住面積水準では、単身者は25㎡、2人以上の世帯では「10㎡×世帯人数+10㎡」という形で、健康で文化的な住生活を営むために必要不可欠な面積の目安が示されていました。
って、これ実は相当狭いと思います。
でも、後述しますが都心部だと広いと家賃や購入費などの問題があり「狭いけど仕方がない」となってしまうんですよね。
話を戻します。これは建築基準法のように「この広さを下回ると違法」というものではありません。
けれど、国が住宅政策の中で「住まいには、最低限これくらいの広さが必要です」と示していたことには、大きな意味があったと思います。
ところが、2026年3月に閣議決定された新しい住生活基本計画では、この「最低居住面積水準」や「誘導居住面積水準」が、これまでのような形では示されなくなりました。
住宅価格が上がり、土地代も建築費も高くなっている今、家はどうしてもコンパクトになりやすい状況です。
特に都市部では、以前と同じ予算で、以前と同じ広さの家を建てることが難しくなっています。
その中で、国の計画から明確な広さの目安がなくなったことは、これからの住まいを考えるうえで、とても大きな変化だと感じます。
これからは「何坪あるか」
だけでは判断できない

もちろん、広い家が悪いわけではないんです。
収納にも余裕があり、家族それぞれの居場所があり、洗濯物を干す場所や趣味のスペースまで確保できる家は、やはり暮らしやすいです。
一方で、単に面積が広ければ暮らしやすいかというと、そうとも言い切れません。
広さはあるのに、収納が足りない。
LDKは広いのに、家事動線が悪い。
部屋数はあるのに、家族が落ち着いて過ごす場所がない。
廊下や使いにくい空間が多く、実際に暮らしに使える面積が少ない。
こうした住まいも数多くあります。
面積はそこまで大きくなくても、収納の位置、動線、洗濯のしやすさ、室内干しの場所、家族の距離感、将来の使い方まで考えられていれば、日々のストレスはかなり減らすことができます。
これからの住まいでは、単純に「何坪あるか」ではなく、その広さの中で、どんな暮らしが無理なくできるのか。そんなことががより明確になって言うのではないか、なんて感じております。
狭くなる時代だからこそ、
設計の考え方が問われる

さて、住宅価格が上がると、建物の面積を少し抑えよう、という選択が出てきます。
予算の中で家を建てようとすれば、すべてを叶えることは難しくなります。
ということは、最初に考えるべきことは、
「何を削るか」ではなく、
「何を大切にして暮らしたいか」
だと思います。
たとえば、共働きで毎日忙しいご家庭であれば、広い客間よりも、洗濯や片付けがしやすい動線の方が大切かもしれません。
子育て中のご家庭であれば、個室の広さよりも、家族が自然と集まれる場所や、片付けやすい収納の方が暮らしやすさにつながるかもしれませんよね。
犬と暮らすご家庭であれば、床の滑りにくさ、掃除のしやすさ、におい、抜け毛、室内の温度環境なども大切になります。
(これ、我が家です)
在宅ワークがある方なら、小さくても集中できる場所や、音の問題を考えた間取りが必要になることもあります。
(これも我が家です)
つまり、これからの住まいづくりでは、広さそのものよりも、暮らしの中で起こる小さなストレスをどれだけ減らせるかがやはり大切なんだと思います。
「広さの基準」がなくなるほど、
自分たちの基準が必要になる

国の計画から、世帯人数ごとの明確な広さの目安がなくなったとしても、暮らしに必要な広さがなくなるわけではありません。
人が暮らすわけですから、
寝る場所、食事をする場所、くつろぐ場所、収納する場所、洗濯する場所、家族と過ごす場所は必要です。
ただ、その必要な広さや場所は、家族構成や暮らし方によって変わります。
これからは国の目安や一般的な坪数だけに頼るのではなく、自分たちの暮らしにとって、何が必要なのかを整理することが大切です。
これからの住まいは「広さ」よりも
「暮らし方」から考える

これから住宅は、ひょっとしたら今までよりもコンパクトになっていくかもしれません。
しかし、それは必ずしも、暮らしにくい家が増えるということでもないと思います。
限られた面積の中で、何を優先するか、何を大切にするか、です。
広いLDKを優先するのか。
収納をしっかり確保するのか。
家事動線を短くするのか。
家族それぞれの居場所をつくるのか。
自然素材や空気の心地よさを大切にするのか。
愛犬との暮らしやすさを考えるのか。
同じ30坪の家でも、考え方によって暮らしやすさは大きく変わります。
同じ予算でも、何を優先するかによって、住まいの満足度はきっと変わります。
まとめ

住生活基本計画から、これまで示されていた広さの目安がなくなったことは、住宅を考えるうえで大きな変化です。
住宅価格が上がり、家がコンパクトになりやすい時代です。住まい手自身が「自分たちにとって必要な広さとは何か」を考える必要があります。
何坪あるか。
何部屋あるか。
もちろん、それも大切です。
でも、それ以上に大切なのは、
その住まいで、毎日を無理なく、心地よく暮らせるかどうかです。
これからの住まいは、広さだけで選ぶ時代から、暮らし方に合わせて広さを考える時代へ変わっていくのかもしれません。
参考:国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000032.html?utm_source=chatgpt.com

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この記事を書いた人

中川 高士
中川 高士(あまねこう代表)
大手ハウスメーカーから地域ビルダー、小規模工務店まで30年以上の建築経験を持つ。
営業から現場管理まで一貫して携わり、現在は京都で自然素材を活かした住まいづくりを提案。
10年後に「この家でよかった」
と思える暮らしが増えることで、地域が豊かになることを目指す。
【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員
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