クロスの仕上がりが良くない気がする
「壁に凹凸がある」
「壁になんか線みたいな感じのものがある」
新築やリフォーム後に、壁の仕上げに対して「あれ?」と思うお客様の声をよく聞きます。ビニールクロスの仕上がりが良く無い気がするからです。
一般的にビニールクロスを貼ることが多いと思います。このビニールクロスの仕上がりでの注意点を紹介いたします。
ビニールクロスとは
昔の住まい、昭和の頃の住まいでは壁の仕上げは土壁や聚楽などの塗り壁が主流でした。ちょっと洋風なお住まいだと布クロスと呼ばれる織物の仕上げ材が施されていました。
昭和の高度経済成長に合わせ、ポリ塩化ビニールで作られたビニールクロスが台頭しだしました。
安く早く貼れる、見栄えもそこそこ、ということであっという間に日本の住宅の仕上げ材の主流となったのです。
ビニールクロスの欠点
そんなビニールクロスにも欠点があります。それは下地の凸凹や、あるか無いかの段差を拾ってしまう、ということです。
せっかく綺麗に貼り上がったと思いきや、「ん?」と仕上げの一部が凸凹していたりすることに気づきガッカリすることも。
ひどい時には再度工事をすることもありえます。
なぜこのようなことになるのでしょうか。
ビニールクロスの下地
ビニールクロスの下地のほとんどは石膏ボードと呼ばれる建材。大工さんが壁や天井に貼っていきます。
お住まいの計画によるのですが、主流サイズは910mm ×1820mm です。
これを貼り合わせていくので、ボードとボードの継ぎ目が発生します。この継ぎ目にパテと呼ばれる材料を塗り表面を滑らかにしてからビニールクロスを貼ります。
このパテを塗る技術も鮮やかで、平滑にサッと工事をしてくれます。
ただ、ここに様々な問題を含むことが多いのです。
ビニールクロスが凸凹する理由
ビニールクロスの下地の調整にパテを使うという説明をいたしました。
これも非常に丁寧に施工をしてくれるのですが、石膏ボードと石膏ボードのジョイントは必ず切れるのです。
家は常に揺れて動いています。我々が体感しなくとも強風でも動きますし、大きな車が通っても揺れ動く。地震などなら当たり前です。
この揺れて動くせいでやはりジョイントが目立つようになるのです。
ビニールクロスはとても薄い商品です。パテで平滑にして、肉眼ではわからないくらいのズレも光の反射の具合でわかってしまうのです。
稀にですが、石膏ボードを固定する際のビス頭などが飛び出していることもあります。
下地のチェックの際にはわからないようなレベルでも、クロスを貼ると凸っとしていることもありえます。
また、マンションのリフォームなどでは、そもそも壁下地が水平垂直では無いことが多くあります。
我々は壁は垂直、天井は水平だと思い込んでいますが、かなりのレベルでそんなことはありません。
時にクロス屋さんは悪者になることが多いのですが、実は上手に貼れば貼るほど下地の悪さが目立つお仕事です。
対策はどうしたらいい
家は前述のように揺れ動いています。物理的に石膏ボードのジョイントや、ビニールクロスのジョイントもいずれ目立つようになります。そういうものだ、と割り切ることも大切です。
それでもビニールクロスの仕上がりが不安な方。ちょっとしたことでもとても気にしてしまう方などには以下のような対策が有効です。
分厚いクロスを選ぶ
薄いビニールクロスですが、選ぶ商品(品番)によって微妙に厚みが違います。
できるだけ分厚いビニールクロスを選ぶことで目立ちにくくなる可能性が高いです。
リフォームにはリフォーム用クロスを
「リフォーム用クロス」と呼ばれる、厚みのあるビニールクロスを集めたカタログも存在します。リフォームの際はそういったカタログから商品を選ぶのも良い対策になります。
価格は廉価のビニールクロスは安く、リフォーム用のビニールクロスは少しそれよりも高いです。面積にもよりますが数万円の差額で収まると思います。
仕上がりに関わるところなので、特にリフォームの際は厚めのクロスを選ぶようにすると仕上がり後のストレスの軽減につながると思います。
まとめ
ビニールクロスは日本の文化、といっても良い商品です。海外では紙のクロスも多く使われています。
そして何より海外では「貼り合わせたものはめくれる」という認識がなされています。
色や大きな柄のものが海外には多く、細かい傷やめくれよりもマクロに色柄を楽しむ、という感じです。
繊細にキッチリと工事を行う、というのは日本の良き慣習であり文化なのですが、少しおおらかな気持ちでいることが、ビニールクロスの仕上がりにストレスを抱えない方法だと思います。
もちろん工事はしっかりと行うことが前提です。あくまでも知っておいて欲しいお話でした。
京都市で家を建てるなら地元の工務店へ
京都市で家を建てる場合、注文住宅でもリノベーションにおいても京都特有の環境に注意が必要です。景観条例に代表される京都独特の法令があるからです。また狭小道路や狭小土地なども京都ならではと言っても良いでしょう。
地元での経験が長く、工事経験の豊富な工務店を選ぶことが皆さんの大きな安心へとつながることと思います。
この記事を書いた人
中川 高士:あまねこう代表
営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。
業界経験は28年を超える。
実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。
2023年に独立。
「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。
住まいづくりで悩む方々へ
「他社で質問しても今ひとつハッキリしない」
「いろいろ勉強してからスタートしたい」
いい家を建てたいなら、
いい住まいづくりをしないと失敗します。