外構計画は間取りの計画と同時に行いましょう

「なんでこうなるの??」

注文住宅の完成時、お客様からこんなセリフが出てしまう。あまり良いセリフではありませんね。今回はこのセリフが放たれるシーン‥外構計画についてお話しします。

目次

このブログのポイント

・外構工事とは何か。また外構工事でよく問題となるケースを紹介します。

・問題にならないようにする方法があります。それは一番最初に外構計画を立てること。ですが、ほとんどの住宅会社では外構工事が後回しにされています。その理由と対策を紹介します。

外構計画・外構工事で問題になること

外構工事とは家の周囲の工事のことだと思ってください。ガレージやカーポート、塀やフェンス、などなど。ウッドデッキなんかも外構工事です。さてこの外構工事であってはならない問題が起きることがあります。

段差

外構工事で問題になる多くは段差です。この段差の問題は至るところで発生します。代表的なもので説明すると、道路と敷地の段差です。

「道路と敷地に段差がありますか」この質問をした際に、見た目に段差がない敷地にお住まいの方は「フラットです」と答える傾向にあります。

しかし実際には雨水は道路(側溝)に流したい。敷地に道路から雨水が流れてきては困ります。ですから実は「敷地の方が道路より高い位置にある」のです。もしくは敷地は道路よりも高くしなければなりません。

仮に、

道路と敷地の高低差が平均20cmあると考えてください。そしてその高さを建物の基準「GL」にしたとします。

一般的な木造住宅の玄関ポーチの高さは約30cmです。合計で50cm。

階段の高さが15cmだとすると3~4段が必要になります。

簡単に計算できるのですが、聞いてなければ「 3段も階段があるの?」となってしまいます。

段差と距離の関係

前述の階段が 3段だとしましょう。さらに、足で踏む面のことを「踏面(ふみづら)」と言います。踏面は安全のために30cmは必要です。

ということは、3段目の玄関ポーチの奥行きを1m取れば、1m60cmの距離が必要となるわけです。

ガレージ計画のトラブル

「家の間取り、大きさを優先してガレージはギリギリ5mを確保したら停まるだろう」ということが都心部ではよくあります。

しかし前述のように外構計画を見誤っていると玄関の階段が3段で1m60cm必要になるわけです。

要するに階段が邪魔をして、車が停められない、という事件が発生します。こういう事件が実は頻繁に発生します。

外構計画・外構工事で問題になること

外構計画を建物の間取りを考える際に一緒に検討すればこんな事件は起きません。しかしなぜ最初に計画しないのでしょうか。

外構工事を後回しにしたい理由がある

実は、大手のハウスメーカーなどは、営業上建物の契約を急ぎます。筆者が大手ハウスメーカーに勤めていた時は、とにかく会社から契約を急かされるので、

「外構は後からでも計画できますよ」と説明するような暗黙の仕組みがありました。

お客様もそのように説明されれば「そんなものか」と思いますから、外構計画を考えずに考えた間取りは、結局外構工事に皺寄せがきます。筆者は必ず外構計画を同時に立案するようにしていました。

外構工事でトラブルになったことはありませんが、会社からは契約までの時間がかかり過ぎている、とよく怒られました。

外構予算を安く見せて契約したい

他の要因は外構予算です。お客様の望み通りに外構計画を行い見積もりをすれば、予算がどんどん上がります。営業マンからすれば見積もり金額が高くなるので困るわけです。要するに「安く見せたい」のに高くなるからです。

これが理由で、間取りの計画や建物の見積もり段階では外構計画を行わないわけです。

まとめ

外構計画は建物の計画と同義です。外構なしでは暮らすことはできません。建物はすごく立派なのに、玄関へのアプローチ階段幅が50cmくらいしかない、というような家も知っています。

建物全体の計画としても、マイホームの予算面でも、外構計画は最初に行うようにすると失敗がないと思います。

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

 京都市で家を建てる場合、注文住宅でもリノベーションにおいても京都特有の環境に注意が必要です。景観条例に代表される京都独特の法令があるからです。また狭小道路や狭小土地なども京都ならではと言っても良いでしょう。

 地元での経験が長く、工事経験の豊富な工務店を選ぶことは皆さんの大きな安心へとつながることと思います。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。