ホウ酸による防蟻工事を行います|京都で健康住宅を建てる

 京都市で注文住宅・リノベーション工事を手がける工務店「あまねこう」の中川です。防蟻工事という工事名をご存知でしょうか。漢字で書くと難しいですがシロアリ被害に対する予防・対策工事のことです。

 この防蟻工事、あまねこうでは防蟻材(殺虫剤=農薬)を使用せず、ホウ酸を使用しています。詳しく解説いたします。

防蟻材|農薬という事実

 まず一般的な工事で使用される防蟻材は実は農薬です。ネオニコチノイドと呼ばれる殺虫剤なのです。農薬は農薬取締法という法律で販売や使用を厳しく制限されています。ところが、なぜか防蟻剤としては広く流通し使用されています。

 シロアリ予防というとマイルドですが殺虫剤です。人体への影響は常に懸念されており、海外では同様の農薬は農薬としても使用を制限する国が増えています。フランスでは主要5種類はすべて使用禁止になっています。

 世界的なミツバチの減少、赤トンボの減少もこれに起因するのではと厚生労働省のHPにも最新データが載っています。このようなネオニコチノイドなのですが、日本では2015年に食品残留基準の規制緩和がされています。ほうれん草などはそれまでの13倍に緩和されています。

虫の生態を利用する|ホウ酸という無機物を使う

ホウ酸散布の様子:ホウ酸は薬ではないのでマスクなども必要がない

 農薬を防蟻剤に使ってはいけないという動きもあり、ホウ酸を使用する住宅会社も増えています。あまねこうでも防蟻工事はホウ酸しか使用しません。ではホウ酸とは一体何か?

 簡単にいうとホウ酸は無機物です。身近な無機物は「塩」です。無機物は腐ることがないので防蟻に使用しても効果がなくなることがありません。また人間のような哺乳類が体内に摂取すると余分な摂取分は尿として排出されます。

 この仕組みを防蟻に活かしているのです。虫には腎臓がありません。虫がホウ酸を摂取すると体内で分解できず死滅してしまいます。人体に影響がなくシロアリに効くという特性を活かしています。

猪名川町立「静思館」:旧富田家住宅の三和土(たたき)

 余談ですが、昔々の家の台所の床を「たたき」と呼んでいたことをご存知でしょうか。いわゆる土の「土間」のことです。この「たたき」、昔は「塩」を混ぜて叩いて地面を固めたのです。では、なぜ「塩」を混ぜるのでしょうか。

 塩は無機物です。これは先人の知恵です。塩が虫除けに効くことを先人は知っていたのですね。現代の防蟻に塩を使わないのは鉄が錆びるからで単純な話です。ホウ酸は鉄には影響がないので、このこともホウ酸が使いやすい一因となっています。

まとめ|防蟻剤を使用せずに建てられるのか

ホウ酸工事済証:オレンジ色のシミはホウ酸に触れると化学反応で色が付くようになっている。

 建築基準法では木造住宅には防蟻処理を行うように定められています。但し、例外があって、ヒノキ、ヒバなどの虫が付きにくい樹種であれば「OK」ということになっています。

 これは嘘です。結論を先に書くとシロアリが食べない木材はありません。ヒノキなどはシロアリ耐性は「中程度」しかないと明記されています。

 殺虫剤による防蟻工事を法律で定めた際に、健康被害を懸念した団体や活動が起こりました。国としては殺虫剤を使用しないケースを理由を付けて認めるしかなくなりできたルールです。

 今回は大変難しい内容でしたが、知っておいて損はないと思います。健康住宅であるかどうかはさておき、健康被害の可能性が高いものは使わないようにしたいものですね。あまねこう代表の中川は「ホウ酸施工管理技士」です。詳しいことを知りたい方はぜひご相談ください。

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。