健康住宅とシロアリ対策の矛盾|健康住宅を建てるなら知っておいて欲しいこと

 京都市で注文住宅・リノベーション工事を手がける工務店「あまねこう」の中川です。たびたびこのブログで健康住宅に関することを記事にしています。あまねこうでは、心と身体、暮らしのストレスが少ない住まいを健康住宅と定義しているのですが、今回はもっと単純な話を紹介します。

 マイホーム、特に木造戸建ての場合はシロアリ対策が必要です。防蟻工事と言います。この防蟻工事に関して、「健康住宅」というには矛盾が生じていることがあるので解説いたします。

シロアリ対策|防蟻工事とはなにか

 まずシロアリが住まいにとって良くないことはなんとなくご存知だと思います。簡単に言うと彼らは木材・材木の成分を栄養源にしているので食します。マイホームに使用される材木は加工されて柔らかいのでより一層好まれるわけです。

 ゆえに構造材を食されると家が弱くなってしまうため対策が必要となります。このため防蟻剤を使用した防蟻工事が必要となるわけです。建築基準法でも防蟻対策を行うように定められています。

防蟻剤は予防剤ではなく殺虫剤

殺虫剤なので防護マスクと防護服が必要な作業

 そして一般的に使用される防蟻剤は殺虫剤。実は農薬です。農薬は一般的には購入できないのですが、防蟻剤としては市場に流布しています。ネオニコチノイド系と呼ばれる農薬が防蟻剤として使用されています。

 このネオニコチノイドは日本に於いては規制が緩和されています。ちなみに欧州ではネオニコチノイドは使用が制限されています。ミツバチ、赤トンボが激減している理由だと研究、証明が進んでいます。

 要するに、農薬、殺虫剤を家の中に散霧しているわけです。そしてこの農薬は建物が完成しても、室内に揮発されていることが近年確認されているのです。余談ですが世界広しといえど、殺虫剤を防蟻の予防剤として使っている国は日本だけです。

ホウ酸は殺虫剤ではないのでマスクなどは不要

身体に悪いものを使う健康住宅がなぜか存在している

 健康住宅を建てたい、と考えるみなさんに知っておいて欲しいのは前述の事実。百歩譲って「規制内建材(F☆☆☆☆・フォースター)を使っているので健康です」とは言えても、防蟻剤(ネオニコチノイド)を使っているので健康住宅、とは言えないと思います。

 これは個人的な感想として述べますが、日本の住宅産業は縦割り社会と同じだな、と感じることが多々あります。「シロアリ予防はこれがいいよ」「健康住宅はこれを使おう」とそれぞれが独立して決定されているわけです。

 防蟻工事に於いては以上のことから殺虫剤を使用しない方法を選択して初めて「健康住宅」と言えます。あまねこうではホウ酸による処理を行います。ホウ酸や無機物なので薬剤ではありません。

まとめ|オススメの工事とその他工事の矛盾

 その他にも「耐震性向上のために面材耐力壁を使おう」などがあります。これをやると湿気対策が施せないので家の耐久性が落ちます。耐震性能を高めると耐久性が下がるわけです。そして無理やり理屈づけるために通気工法を行うわけなのですが、通気性能のない面材の場合は意味がありません。

 このような様々な矛盾をみなさんが知らない限り、健康住宅や望む住まいを建てることなどできないわけです。そのような失敗や後悔がなくなるように、このブログでは情報を発信しています。ぜひ有効にご利用いただいて、住まいづくりを成功させていただければ幸いです。

追伸:
もしもシロアリが絶滅すると、森や山の樹木が絶滅します。生態系の不思議です。なぜか知りたい方はお問い合わせください(笑)

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。