悪い間取り集の見分け方|京都の工務店「あまねこう」がお伝えします

 京都市西京区で注文住宅・リノベーションを手がける「あまねこう」の中川です。注文住宅やリノベーションを計画中の方で、「間取り集」「プラン集」を参考にしている人は多いと思います。

 しかし、実は「ちょっと待って!」というポイントがあるのです。皆さんにあまねこうがお伝えします。

▶︎そもそもプラン集はなぜ存在するのか?

 様々な間取りが満載のプラン集。見ているだけでも楽しいのですが、そもそもなぜプラン集があるのでしょうか。実はお客様目線ではなく、販売側の目線であることが多いです。

 というのも、家を「商品」と考える住宅会社は営業に費やす時間をできるだけ短縮したい。お客様の判断を速やかに得たい。そういう事情で「プラン集」があると商談が楽になるのですね。
(中川は大手ハウスメーカー出身です)

 ですからプラン集を元に多少の変更をしたり、もしくはそのまんま選ぶだけで、そつのないマイホームの間取りが手に入るわけです。そして間取り集のプランそれぞれに金額が記載してあり、選びやすくもあります。そういう意味では間取り集は悪いものではありません。しかし…です。

▶︎プラン集は平面図だけを見てはいけない

 お客様の意識は間取り、平面図に目が行きやすいのです。それを利用して「こんなに使いやすい間取りなんですよ!」という説明がカラフルに平面図に描かれています。ここに騙されてしまうわけです。

 マイホーム計画をする際、間取りだけではなく「省エネ住宅」を考えたことはないですか。住宅会社も「当社は省エネ住宅です」とアピールしていると思います。

 その上で間取り集の確認ポイントをお伝えします。

▶︎立面図に「庇」はちゃんとあるかどうかをチェック

 結論から書くと、プラン集の立面図に「(ひさし)」がちゃんと記載されているでしょうか。省エネ住宅というのは断熱性能の高い家のことではありません。エネルギー消費の少ない家のこと。

 ということは冷暖房のことを考えると、家には庇の計画が必須なのです。中川は「庇」がちゃんと描かれたプラン集をほとんど見たことがありません。炎上を恐れずに書きますが、大手ハウスメーカーで庇がちゃんと描かれたプラン集の方が圧倒的に少ないと思います。

 住宅会社の言い訳も簡単に想像できます。

敷地の条件によって変わるので記載しておりません。必要ならばお取り付けしますよ

ですね。まったく逆です。想定した条件で間取りを書いているのですから、その条件下で庇を設計していないのはおかしいのです。

 これは庇をつけることで、建物の金額が増えることを嫌っているか、もしくは設計にその意識がないか。間取り集の条件が隣の家の壁に窓から手が届くような設定なら理解できます。皆さんのお手元のプラン集はそのような密集地の中のプラン集になっているでしょうか。

 最後に、「立面図」のないプラン集は最悪です。間取りを平面でしか考えない設計は見ない方が良いと思います。悪い間取り集の見分け方、ぜひ判断基準として知っておいてください。

※省エネ住宅という言葉に騙されないように、省エネ住宅のポイントを記事にしています。参考になると思うのでご参照ください。
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この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。