
みなさんこんにちは。西京区で自然素材を使ったリフォーム・リノベーションを手がける「あまねこう」の中川です。
外壁は家の印象を決めるだけでなく、10年・20年先のメンテナンス費用にも大きく関わります。
今回は、外壁塗装や部分補修の工事に携わった実体験も踏まえながら、「外壁に木を使うと何が良いのか」を、サイディングとの比較でわかりやすくまとめます。
- 1. 外壁材選びで後悔しない3つの基準
- 1.1. 初期費用だけでなく「ランニングコスト」で見る
- 1.2. 立地と動線が外壁の傷み方を変える
- 1.3. 「直しやすさ」は長く住むほど効いてくる
- 2. 防火サイディングボードのメリットと注意点
- 2.1. なぜサイディングが選ばれやすいのか
- 2.2. 実は定期メンテナンスが前提になりやすい
- 2.3. 暑さ・寒さは「外壁単体」では決まらないが、影響はある
- 2.3.1. サイディングと木の外壁の比較(目安)
- 3. 外壁に木を使うメリット|焼き板(焼杉)を例に
- 3.1. 「木は腐る」は半分正しい。だからこそ仕様が大事
- 3.2. 実は「燃え方」がポイント。炭化層は広がりにくい
- 3.3. ローメンテにつながるのは「コーキングが少ない」こと
- 3.4. 味わいと「直せる安心感」が、暮らしの価値になる
- 4. 木の外壁で失敗しないための注意点
- 4.1. お手入れは“壊れてから”ではなく“兆候のうちに”
- 4.2. 「全部を木」にしなくても、十分メリットは出せる
- 4.3. 施工の差が出やすいので、納まりの説明を受ける
- 5. まとめ
外壁材選びで後悔しない3つの基準
外壁材を選ぶときは「デザイン」「素材感」「予算」がまず浮かびますが、実は暮らし始めてから差が出るのが、メンテナンスと寿命です。ここでは判断の軸を3つに整理します。
初期費用だけでなく「ランニングコスト」で見る
外壁は“建てたら終わり”ではありません。塗装や防水、コーキング(目地のゴム状の部分)の打ち替えなど、定期的なお手入れが必要になります。
初期費用が抑えられても、10〜20年のスパンで見たときに出費が重なり、「思ったよりコストがかかった」と感じるケースは少なくありません。
外壁材選びでは、見積もりの金額そのものよりも、「次に必要になる工事は何か」「どの頻度で起きるか」を先に把握しておくと安心です。
立地と動線が外壁の傷み方を変える
同じ外壁材でも、環境で劣化のスピードは変わります。たとえば西日が強い、風雨が当たりやすい、車通りが多く粉じんが舞いやすいなど、条件が重なると外壁は傷みやすくなります。
家の“どの面が一番厳しい環境か”を想像しておくと、素材選びも、塗装の仕様も、失敗しにくくなります。
「直しやすさ」は長く住むほど効いてくる
見落とされがちですが、将来の修理がしやすいかどうかは大切です。
外壁は一部だけ傷むこともあります。そのときに、部分交換で済むのか、広範囲の張り替えが必要になるのかで、費用も工期も変わります。長く住むほど、この差が効いてきます。
防火サイディングボードのメリットと注意点

現在主流になっているのが、窯業系の防火サイディングボードです。採用される理由がある一方で、「当たり前だから」で決めると、後から気になる点が出やすい素材でもあります。
なぜサイディングが選ばれやすいのか
サイディングは、防火性に配慮された製品が多く、デザインの種類も豊富です。乾式工法で施工も比較的スピーディーなので、工期の面でもメリットがあります。
また、材料や施工の仕組みが一般的に確立しているため、初期費用が抑えやすいのも選ばれる理由です。
実は定期メンテナンスが前提になりやすい
サイディングでよく話題になるのが、コーキングです。目地が多い外壁ほど、紫外線や雨風の影響を受けやすい部分が増え、打ち替えや補修が必要になります。
さらに外壁全体としても、塗装や防水のメンテナンスを定期的に行う前提になりやすく、「初期費用は抑えられたけれど、長期の維持費は意外と大きい」という印象につながりやすいです。
暑さ・寒さは「外壁単体」では決まらないが、影響はある
暑い・寒いの体感は、外壁材だけでなく断熱材、通気層、窓、日射条件など複合的に決まります。とはいえ外壁が受ける熱や湿気の扱い方で、内部環境に差が出るのも事実です。
外壁材を選ぶときは、素材単体の比較だけでなく「壁の構成(通気・防水・断熱)」まで一緒に考えるのが安心です。
サイディングと木の外壁の比較(目安)
| 比較項目 | 防火サイディングボード | 木の外壁(例:焼き板など) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 抑えやすい傾向 | 仕様により変動(材料・施工で差) |
| 目地・コーキング | 目地が多くなりやすい | 窓まわり中心で量を減らしやすい |
| メンテナンス | 塗装・防水・コーキングが定期的に必要になりやすい | 仕様次第でローメンテにしやすい |
| 味わい | デザイン豊富(“調”の表現も多い) | 本物の素材感が出る、経年変化も楽しめる |
| 部分補修 | 条件により範囲が広がりやすい | 大工工事で部分修理しやすいケースがある |
外壁に木を使うメリット|焼き板(焼杉)を例に

「木の外壁は腐る」「燃えるから不安」という声はよく聞きます。ただ、木の使い方には工夫があり、きちんと選べば“長く住むほど良さが出る外壁”になります。
「木は腐る」は半分正しい。だからこそ仕様が大事
木は条件がそろうと腐朽(ふきゅう:腐って強度が落ちること)します。これは事実です。
一方で、雨の当たり方をコントロールし、通気を確保し、水が溜まらない納まり(つくり方)にすれば、木の弱点はかなり抑えられます。
さらに、焼き板のように表面を焼いて炭化させたものは、表層が炭化している分、耐候性(風雨や紫外線への強さ)を活かしやすいのが特徴です。
木がなぜ腐るのか。詳しく知りたい方には別の記事が参考になると思います。ぜひご参照ください。
実は「燃え方」がポイント。炭化層は広がりにくい
木は燃えます。ただし、表面が炭化すると、その層が熱の進行を抑える方向に働きやすいことがあります。
つまり、木=危険と決めつけるのではなく、どんな製品をどう納めるか、そして地域の防火条件に適合するかをセットで考えるのが現実的です。
防火地域・準防火地域など、地域のルールによって使える仕様が変わる場合もあります。ここは設計段階で必ず確認が必要です。
ローメンテにつながるのは「コーキングが少ない」こと
木の外壁で嬉しい点のひとつが、サイディングに比べてコーキングを減らしやすいことです。外壁全体の目地が少なくなれば、将来の打ち替え箇所も減ります。
もちろん、窓まわりなど必要な部分は出てきますが、「外壁全体がコーキング頼み」になりにくいのは、長い目で見たときに効いてきます。
味わいと「直せる安心感」が、暮らしの価値になる
木の外壁は、いわゆる「木“調”】【タイル“調”】のようなフェイクとは違い、本物の素材が持つ表情があります。新築直後よりも、数年住んでからの落ち着き方が好き、という方も多いです。
そして何より、将来のリフォーム時に“大工工事で修理できる”ことが強みになります。外壁の傷みが部分的なら、必要なところだけ直して、全体の工事を最小限にしやすいのです。
建築費用で大きいのは人件費です。いろんな専門職が増えるほどコストが積み上がります。大工工事の流れで完結しやすい外壁は、結果的にランニングコスト面で有利になりやすいと感じています。
木の外壁で失敗しないための注意点
木の外壁は良いところが多い反面、「使い方」と「タイミング」を外すと補修が必要になります。上手に取り入れるためのポイントも押さえておきましょう。
お手入れは“壊れてから”ではなく“兆候のうちに”
外壁のメンテナンスは、遅れるほど補修範囲が増えやすくなります。実際、手入れのタイミングが少し遅れて修理が発生した例もあります。
ただ、それでもサイディングの大規模メンテナンスに比べれば、部分補修で済んで費用を抑えられたケースもありました。小さな兆候のうちに対処するのがコツです。
「全部を木」にしなくても、十分メリットは出せる
木の外壁は、全面に使うだけが正解ではありません。雨が当たりにくい面や、軒(のき)の出がしっかりある面、玄関まわりなどにポイント使いするだけでも、素材感は出ます。
デザインと耐久のバランスを取りながら、適材適所で使うと安心です。
施工の差が出やすいので、納まりの説明を受ける
木は“材料”だけでなく、“どう納めるか”で寿命が変わります。通気の取り方、水切り(みずきり:水を外へ逃がす部材や形状)、端部の処理など、細部の積み重ねが大切です。
検討するときは、仕上がり写真だけでなく「どういう構成で、どうメンテしていくか」まで説明を受けると、安心して選びやすくなります。
まとめ
外壁材は見た目だけでなく、将来のメンテナンス費用と住まいの寿命に直結します。木の外壁は敬遠されがちですが、仕様と使い方を選べば、長期的にメリットが大きい選択肢になります。
- 外壁は「初期費用」だけでなく、10〜20年のランニングコストで比較するのが大切です
- サイディングはメリットが多い一方、目地の多さから定期メンテ前提になりやすい面があります
- 木の外壁(焼き板など)は、コーキング量を抑えやすく、部分補修もしやすいのが強みです
- 木は“使い方”が重要で、通気・水切り・メンテのタイミングで寿命が変わります
- 全面ではなくポイント使いでも、素材の魅力とコスト面の良さを取り入れられます
外壁材で迷ったら、「この家はどの面が一番傷みやすいか」「将来どんなメンテが必要になりそうか」から一緒に整理してみましょう。気になる方は、住まいの状況に合わせた選び方もお伝えできますので、遠慮なくご相談ください。
京都市で家を建てるなら地元の工務店へ
京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。
そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。
この記事を書いた人

中川 高士
京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。
実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。
2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。
【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員
「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。
住まいづくりで悩む方々へ
「他社で質問しても今ひとつハッキリしない」
「いろいろ勉強してからスタートしたい」
いい家を建てたいなら、
いい住まいづくりをしないと失敗します。




