「生け捕り」ってどういう意味|建築用語です

 京都市中京区のテナントにて店舗の工事をしています。専門的にな用途のテナントなので仕上がりが楽しみです。今日はその現場から建築用語を皆様に少し知っていただければと思います。

 京都市西京区でリフォーム・リノベーションを手がける「あまねこう」の中川です。

生け捕り|

工事前の写真。よくあるような感です。以前のテナント様がどのような業種なのか想像もつかないくらい普通ですね。

今日のお題はこの写真に写っているドアなんです。ご紹介する用語は「生け捕り(いけどり)」です。

生け捕り|既存の材料を撤去保管、再利用すること

今回の工事では既存のテナントに残っていたドア数台を「生け捕り」にします。何やら怖い言葉ですが、建築において「生け捕り」というのは、次に使えるように「大事に取り外して再利用する」という意味なんです。

説明を受けると「な〜んだ」と思うでしょうが、現場ではまあまあ使用される言葉。

なぜかというと、リフォームやリノベーション、テナントの工事の場合、特に建物が古いと「同じ物がもう手に入らない」とか、新しく作ると価格がかなり高くなる、などの理由があります。

キレイに取り外すのにも手間がかかるので費用が発生します。それでも新たに用意するよりは安くつくこともあります。今回の現場においては、このテナントビルの造りの都合上、誰でも入れる建物なのでこのドアについている電子錠を利用したい、という理由でした。

3人がかりで取り外してもらいました。合計で3台。丁寧に作業していただきありがとうございます。

ドアの生け捕りは実は結構厄介な作業で、接着剤を使って施工されているのでキレイに取り外せないことが多く、見積もりの際に「生け捕りできない可能性もある」ということを説明するようにしています。

この現場もお施主様からは「ダメだったら諦めるよ」と言っていただいてたので、現場で(かなり苦労していたので)「お施主様に説明するから諦めようか」と声をかけました。すると「いや、絶対に取ります!もう取れます!」と気合の返事。

やはりプロですね。解体はガンガン潰す職人さんと、潰すんだけど丁寧に潰す職人さんがいらっしゃいます。余談ですが、解体工事って予算をかけたくない工事ではありますが、予算をケチると後悔をすることが多い工種なので業者選びは注意が必要です。

建築用語がわかるとマイホームのことや、住まいづくりのワクワクが増えるかもしれませんね。色々と今後もご紹介いたします。

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。