リフォームは新築よりも工事が難しい

「その工事、できるって言うから依頼したのに!」そんな後悔って怖くありませんか。注文住宅で有名な会社に依頼したのに失敗した、と言う声も聞いたことがあります。

 ところで、お客様によく聞かれる質問があります。それは「注文住宅の方が工事は難しいんでしょ?」という質問です。実際にはどうなんでしょうか。

目次

このブログのポイント

・リフォームに比べ注文住宅の方が規模も大きく、予算も大きいので「注文住宅の方が難しい」と思うお客様が多いようです。

・注文住宅は0(ゼロ)から造っていくので、図面通りに進めていけます。リフォームは解体した時に想定外のことが多く、図面通りにいかないケースもたくさんあります。

・難しいリフォームはできるのに、注文住宅はできない、という住宅会社や工務店が存在します。また、その逆もあるのです。なぜでしょうか。

注文住宅とリフォームの規模の違い

 工事の規模で考えると、リフォームよりも注文住宅の方が大きいです。工事期間も予算も大きく異なります。またそういうイメージを持っている人も多いのだと思います。

圧倒的にリフォームの方が難しい

 「注文住宅を手掛けているんだからリフォームは簡単でしょ?」。何度も聞かれたことのあるこの質問。

 みなさんはどちらだと思いますか。それぞれ土俵が違うので簡単に比較はできないのですが、

建築の知識、材料の知識、納まり(※)の検討、工事の段取り、に限定すると、

【圧倒的にリフォームの方が難しい!】

※納まりとは、複数の部材や条件が重なった際、一番合理的で美しい形にその部分を完成させること。

 段差ができたり、異なる部材がぶつかり合って美しくない状況などの場合、「納まりが悪い」という表現をします。

リフォームには想定できないことがある

 リフォームでは、想定外のことがたくさん顕在化します。また、複数の業種や職人さんが同時に出入りしたり、いろんな材料や知識がないと前述の納まりが悪くなったりして、施工の美しさや工期、予算などが苦しくなることもしばしばあります。

 また、リフォームの場合は現場を進めながら検討するということも多く、その刹那での判断が必要になることが多いのです。経験と知識とアイデアがないと難しいと感じています。

 リノベーションは、概ねスケルトンまでの解体を行うので詳細図面を作ることが可能。また取り合いや納まりの難しさはありますが、リフォームに比べれば予想が付きます。
(解体時に「えっ?」という想定外のことは多々あります)

注文住宅の方が施工しやすい

 一戸建て注文住宅の場合は、工期がしっかりあれば現場で納まりの検討をじっくりする時間もあるし、何より図面があってゼロから作るので、図面通りに進まない、ということは多くはありません。

 基本的には図面があります。注文住宅の場合は、図面が間違っていたりしない限り、または極端な施工精度ではない限り、スムースに現場進めることが可能です。

リフォームはできるのに注文住宅はできない

 建築工事を外食産業に例えるとわかりやすいと思います。中華料理店があればイタリアンもあります。和食もあればタイ料理もある。それぞれ全然違うように、建築の工事も全然違います。

難しいリフォームができるのに注文住宅はできない

 「リフォームの方が難しい」のに、リフォームを専門でやってらっしゃる工務店さんは、必ずしも注文住宅が得意ということがあるのです。

 比較するのが本当は間違いなのですが、新築ならではの法律や条例の制限もあり、知らないとできないことがあるからです。

 それぞれに専門性があり、それぞれに得手不得手があります。工務店や住宅会社を選ぶ際に注意も必要なのです。

まとめ

 大切なのは、適切な会社を選ぶこと。工務店、住宅会社は頼まれれば「できる」と答えてしまう性質がある、と覚えておいてください。

リフォームはリフォームを得意にしている会社さんへ
水廻りなら水廻り、内装なら内装、と細かく考えましょう。

リノベーションならリノベーションを得意にしている会社さんへ。
マンション、戸建て、なども工事内容は全然違います。

 ・注文住宅なら注文住宅の会社さんへ依頼する
耐震や省エネの申請をしたことがないという工務店もあったりします。自然素材の扱いが得意、不得意、など注文住宅も分野が広いのです。

 このようにしっかりと工事の種類が違うことを知ってから工事依頼をしないと、満足する工事にならない、ということになるからです。

実際に身近にあった失敗

 実際に間近で見たケースを紹介します。京都市内で、外壁塗装を普段行っていない工務店さんに外壁塗装を発注したお客さまがありました。

 その工務店は普段、外壁塗装をメインにしていないので「景観条例」という申請の存在を知らず、工事後に大変なことになった、ということがありました。

 足場のための道路の使用・占有の許可が必要なことも知らず、近隣からクレームも入りました。こうなると工事をする方も大変ですがお施主様も気の毒です。

 工事自体に問題がなければ良いですが、慣れていない工事で施工精度が下がるようなこともあるので本当に住宅会社・工務店選びは大切です。

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

 京都市で家を建てる場合、注文住宅でもリノベーションにおいても京都特有の環境に注意が必要です。景観条例に代表される京都独特の法令があるからです。また狭小道路や狭小土地なども京都ならではと言っても良いでしょう。

 地元での経験が長く、工事経験の豊富な工務店を選ぶことは皆さんの大きな安心へとつながることと思います。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。