みなさんこんにちは。
京都市で住まいづくりを手掛ける「あまねこう」の中川です。
以前の記事で一括発注と分離発注の違いについてご紹介いたしました。
→『一括発注と分離発注の違いとは?元請・下請・施工管理の仕組みを解説』
今回は、施主による分離発注で見落としがちなことについて説明しようと思います。
早速ですが、分離発注そのものが悪いわけではありません。
設計者など、工事全体を管理する人がいて、それぞれの専門業者へ工事を分けて発注する方法もあります。
今回取り上げたいのは、そうした方法ではなく、
施主自身が「この工事はA社、この工事はB社」と、それぞれの専門業者へ直接依頼するケースです。
実際、中川の身近でもこれに近いリフォームがあり「ん?」と思った次第です。
専門業者へそれぞれ頼めば工事は進む?

知り合いが自宅をリフォームすることになり、工事ごとに別々の会社へ依頼していました。
この工事はA社。
こちらの工事はB社。
それぞれ専門の会社なので、もちろん自分たちの工事についてはプロです。
施主としては、
「相手はみんな建築のプロなのだから、あとは業者同士で話をして進めてくれるだろう」
という感覚だったようです。
これ、気持ちはよく分かるのですが…
実際の工事では、それぞれの仕事をプロとしてできることと、工事全体を管理できることとは別なんです。
各業者がプロでも「全体を見る人」とは限らない

例えば、A社の工事が終わってからB社が入場する必要があるとします。
では、
A社はどこまで施工しておけばいいのか。
B社はいつ現場に入場するのか。
A社とB社の工事がぶつかる部分(取り合い)をどちらが決めて、どちらが仕上げるのか。
こうした調整が必要になります。
建築では、工事と工事が接する部分を「取り合い」と呼びます。
リフォームでは特に、既存の建物に新しい工事を加えていくため、この取り合いがたくさん出てきます。
ところが、それぞれの会社が別々に施主から依頼を受けていると、
「そこはうちの工事ではありません」
となることが出てきます。どちらの業者が悪いという話ではありません。それぞれが契約した工事をするのは当然だからです。
抜け落ちやすいのは「施工管理」という仕事
住宅会社や工務店へ工事をまとめて依頼すると、職人を手配するだけでなく、工事全体を管理する仕事も含まれています。
工程を考える。
業者同士をつなぐ。
現場で問題が起きたら判断する。
デザインや納まりを考える。
次の工事へきちんと引き渡せる状態になっているかを確認し、工事を進める。
こうした仕事が施工管理です。分かりやすく言えば「現場監督」の仕事だとイメージしてください。
完成した家だけを見ていると、なかなか見えない仕事です。
そのため、施主が各専門業者へ直接発注すると、
工事費はそれぞれの会社へ払っているのに、工事全体を管理する仕事だけ誰にも発注していない
という状態になる
中川が知り合いのケースで気になったのはそこでした。
ご本人は分離発注をしている意識はなく、それぞれプロに「任せている」のからうまくいくだろうと思っていたわけです。
「業者同士で話しておいてください」では難しいこともある

もちろん、現場では業者さん同士が声を掛け合って調整してくれることもあるでしょう。
長く一緒に仕事をしている業者さん同士なら、ある程度阿吽の呼吸で進むことも正直あります。
ただ、施主の分離発注でそれを最初から前提にしてしまうのはとてもリスクが大きいと思います。別々に契約している会社であれば、本来それぞれに施工範囲があるわけです。
さらに、全体を見て判断する立場の人がいなければ、
「A社はこう考えている」
「B社は違う納まりを想定している」
ということも起こりえます。
例えば、キッチンの照明。
キッチン屋さんは「照明は電気工事」と思っているでしょう。
電気屋さんはキッチンの照明は「キッチン屋さん」と思っているでしょう。
誰かが指示をしない限り、家が出来上がった時にキッチンの照明は付いていないわけです。
要するに、誰かが最終的に、
「この現場ではこう納めましょう」
と判断しなければ、工事は一つにつながりません。
分離発注が悪いわけではない
ここは誤解してほしくないところです。
施主が専門業者へ直接発注すること自体を否定するものではありません。
建築に詳しい方であれば、自分で工程を組み、各業者と打ち合わせをしながら進めることも可能です。
また、設計者などに全体の管理を依頼したうえで、専門業者へ分離発注する方法もあります。
大切なのは、
「誰に工事を頼むか」だけではなく、「誰が工事全体を見るのか」まで決めておくこと、だと思います。
住宅会社に頼む費用には、見えにくい仕事も含まれている

工事の見積書を見ると、
「専門業者へ直接頼んだ方が安いのでは?」
と思うこともあるかもしれません。
実際、金額だけを比較すればそう見えるケースもあるでしょう。
ただ、住宅会社や工務店が間に入る意味は、単に業者を紹介することではありません。
複数の職人が行う工事を一つの建物としてまとめる。
そのために工程を考え、取り合いを調整し、現場で起きる細かな問題を一つずつ判断していく。
それも工事の一部です。
中川自身、知人の身近なケースを見ていて改めて感じたのは、
各職人がプロであることと、工事全体を管理する人がいることは別だな、ということでした。
施主自身で分離発注する場合は、工事を頼む会社を決めると同時に、
「この工事全体を誰が管理するのか」
そこまで考えておくことが、とても大切だと知っておいてほしいと思います。
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地元の工務店へ
京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。
そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。
この記事を書いた人

中川 高士
中川 高士(あまねこう代表)
大手ハウスメーカーから地域ビルダー、小規模工務店まで30年以上の建築経験を持つ。
営業から現場管理まで一貫して携わり、現在は京都で自然素材を活かした住まいづくりを提案。
10年後に「この家でよかった」
と思える暮らしが増えることで、地域が豊かになることを目指す。
【保有資格・公的な役職】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産評価審査委員会委員
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