建築費用を見極めるには|見積もりチェックの方法を解説します 京都市西京区で注文住宅・リノベーション工事を手掛ける「あまねこう」の中川です。工事費用を安くしたいのに安くならないのはなぜか。安価だけど工事の精度が心配。そんなみなさんに、マンションリノベーションでのキッチンにまつわる工事の例え話で解説します。 目次 このブログのポイント ・工事の日程、工程は見積もり段階で作成しているべきです。・現場のモチベーションが下がります。・意外と、工程表と見積もり金額の相関関係を理解していない工務店や住宅会社はたくさん存在している。 工事費用が高くなる|工程表がないと安価にはならない 実際にあった話です。中川がサラリーマン時代のこと。マンションのリノベーションでスケルトンの解体工事の途中のことでした。下請けの工事。会社の事情で工事担当を引き継ぐことになり、その時の話を整理して紹介いたします。 工程表がない|工事の段取りができない 解体工事の途中で引き継いだのですが工程表がありませんでした。そんな中、木工事開始日だけは大工さんの予定もあり決まっていたのです。 大工さんは次の現場も決まっており日程を伸ばすことはできませんでした。解体を無理くり終わらせたのは大工工事予定日の前日。リノベーション工事では絶対に有り得ません。工事内容も保留事項が多く、工程表もないので始まりも終わりも読めない状況でした。 工事費用が高くなる|現場で発生する事件 リノベーションなので間取りも大きく変わる工事でした。とにかくできる部分からということで床下地と間仕切り工事、天井下地と段取りします。 キッチンやトイレ、洗面、お風呂工事もあります。工事は進行しますから大工さんに床下地を施工してもらう。そして水道屋さんは後日に来てもらう。そうなると大工さんがまた床をめくる、という段取りに。 二度手間、ムダが多いことはわかりますね。このマンションのお客様も「早く内容を決定した方が安くなる」と元請けの工務店に教えてもらっていないので、保留事項の内容決定が遅くなる。 そうなるとまたムダが出る、工期も伸びる。安くもならず、現場もバタバタ。誰得もない工事となるわけです。 工程表がないと現場のモチベーションが下がる 工程表と現場のモチベーションには大きな関係があります。一見「ん?どういうこと?」と思うでしょうが、解説します。 現場でなぜムダなことが起こるのか 前述の、二度手間が発生したり、保留事項が多すぎて段取りできないなど。なぜこんなことが起こるのでしょうか。それは ①元請け、担当者が建築の段取りを知らないから②見積もりを余分(高いめ)にして、費用的なリスクに備えているから③わかっているけど仕事に追われ準備に時間が割けず、②のまま進めてしまうから 低い現場意識は工事費用を押し上げる そして何より最悪なのは、④下請け、職人を泣かせればいい(費用をまけさせればいい)と思っているから ④の場合は、現場側のモチベーションは下がりに下がります。当たり前ですね。大工さんや職人さんのせいではないのにコストだけ下げられるからです。職人さんのヤル気はとても落ち込みます。 「お客様のため」にとか「顧客満足」という言葉はどこに行ったんだ?という施工現場になるわけです。 そしてこのような段取りをする工務店や住宅会社の仕事をする職人さんや下請け会社は、絞られる費用を鑑みて「高い金額で見積もり」を提出します。これが工事費用が高くなる要因の一つです。 工事費用が高くなる|コストダウンと工程表の関係 一見、安価な工事費用はお客様だけではなく元請けの工務店、住宅会社も嬉しいものです。それは受注、要するに「契約」がしやすいから。コストは高いより低い方がお客様に自社で決定してもらいやすいからです。 工事費用が安くなる、という言い訳 工事費用は安価な方が良いのは当然です。そして安価な理由を「仕入れを多量にしているから」「建材メーカーを統一したり協力会社様に勉強してもらっているから」等々と説明する工務店、住宅会社がたくさんあります。 仕入れコストを抑えることはとても大切なことですが、実は工事費用を大きく左右するほどのものではありません。 工事費用を抑える|重要なのは人件費 結局のところ、住まいづくり・工事の進め方、そういう段取りがコストダウンに大きくつながります。 見積もり段階で工程表があるはずなのです。なければ人件費の見積もりができないからです。見積もり提示の際に工程表の提示がないということは、このブログのような問題を孕んでいる可能性が高いわけです。 まとめ|コストダウンと工程表の関係 仕入れなどの企業努力も大切です。しかし結局のところ、工事費用で一番大切な部分は人件費です。高すぎる人件費は論外ですが、適正な人件費は適正な工程があって初めて計算できます。 見積書と工程表のセット|工事の精度も上がる 総予算が「いくら」と聞いて、予算内だから「OK」というケースが多いと思います。しかし現場の工事精度を鑑みるとコストだけに視線を向けるとこの記事のような事件が発生していて、実はコストアップしているかもしれません。 そのコストアップが職人へと皺寄せが行くとモチベーションが下がり、現場の精度に関わるかもしれません。適正な価格というのは適正な工程とその他の努力で提供できるものです。見積書と工程表のセットが安価な工事費用への道のりだと知っておいてもらえれば、きっとみなさんの住まいづくりはうまくいくと思います。 京都市で家を建てるなら地元の工務店へ 京都市で家を建てる場合、注文住宅でもリノベーションでも、景観条例などの京都独特の法律や規制があります。 その他にも道の幅がさほど広くない、隣家との間がほとんど空いていないなどやはり独特の環境問題も存在しています。 地元での経験が長く、工事経験の豊富な工務店を選ぶことは皆さんの大きな安心へとつながることと思います。 あまねこう代表のプロフィール この記事を書いた人 中川 高士:あまねこう代表 営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。 住まいづくりで悩む方々へ 「他社で質問しても今ひとつハッキリしない」「いろいろ勉強してからスタートしたい」いい家を建てたいなら、いい住まいづくりをしないと失敗します。 問い合わせる