「吹き抜けがあっても、高気密高断熱の家ならエアコンで冬でも暖かいですよ」

こんな説明を聞いたことはないでしょうか。

たしかに間違いではありません。ですが、この説明は「暖かさ」を決める仕組みのうち、1/3しか語っていません。

家の暖かさは、輻射・伝導・対流という「熱の移動の3原則」で整理する必要があります。エアコンで暖める話は、このうち主に対流の話だけ。

対流だけ考えた冷暖房は100点満点中「33点」です。

熱の移動は3つだけ:輻射・伝導・対流

まずは言葉をやさしく整理します。

対流は、空気が動いて熱が運ばれること。
エアコンの温風で部屋の空気温度が上がるのは、これです。わかりやすく書けば、エアコンは冷暖房機器ではなく、空気の温度を変える機械です。

伝導は、モノを伝って熱が逃げる(移動する)こと。
壁・屋根・床・窓から熱が外へ出ていく(または入ってくる)話で、断熱材の目的や足元の床が冷たい(触れている)と感じるのが伝導の理屈です。

輻射は、離れていても熱をやりとりすること。
ここが体感に直結しやすいポイントです。

窓や壁、床の表面が冷たいと「冷気を感じる」ことがありますが、実は体温が奪われている状態です。室温がそこそこ暖かいのに寒く感じるのは、この影響が大きいわけです。

「高気密高断熱+エアコンで暖かい」が33点になる理由

エアコンの説明で語られがちなのは、「空気が温まる=暖かい」という解釈です。これは対流の話なので、確かに100点満点中の33点分は取れています。

高気密高断熱の家は、熱伝導(熱が逃げること)を抑えやすいので、対流で温まった室温、エアコンの効きは良くなりやすいです。ここまでは正解。

でも、ここで終わると

「室温はそこそこあるのに寒い」
「足元が冷える」
「吹き抜けがあると1階が寒い」

といったズレが起きやすくなります。

原因は、残りの大物である輻射・伝導による熱のロスを考えていないから。

たとえば窓が冷たかったり、吹き抜け上部に温かい空気が移動し床の冷えが影響したりすると、体の熱が奪われてしまい体感は寒く感じます。

空気の温度だけ上げても、ここが整っていないと100点には届きません。

吹き抜けで体感差が出やすいポイント

吹き抜けは開放感が魅力ですが、熱の3原則のうち「対流」と「輻射」、「伝導」のバランスが難しい間取りです。

暖かい空気は上に溜まりやすいので、上下の温度差が出やすく、1階が寒く感じることがあります(対流の設計の問題)。

また大きな窓が絡む場合、窓の表面温度が下がり、体の熱が奪われます(輻射の問題)。

そして床は、空気温度より“足元の体感”が支配しやすい場所です。床の表面温度が低いと、部屋全体が暖かいはずでも足元から体温を奪われて寒く感じます。

100点に近づける「残り67点」の考え方

ここからが本題です。エアコン(対流)だけで押し切るのではなく、残り67点を整えましょう。

伝導を考える

断熱は、外へ逃げる熱(入ってくる熱)を減らす基本です。

特に窓まわりは影響が出やすいので、「どこが弱点になりやすいか」を計画段階で押さえるのが大切です。

輻射を考える

冬に「冷気を感じる」場所がどこになりやすいか、そしてどう対策するか。

ここを設計として考えているかどうか、体感が変わります。ちなみに「冷気を感じる」と便宜上書いていますが、物理としては「体温を奪われている」です。

対流を考える

吹き抜けがあるなら、温風を“送る”だけでなく、空気が“戻って循環する道”を作ることが重要です。シーリングファンなども、目的を理解して使うと効果的です。

打ち合わせで使える質問テンプレート

もしも住宅会社と吹き抜けを検討するなら、次の3つをそのまま聞いてみてください。

  • 伝導:この間取りで、熱が逃げやすいポイントはどこですか?どう抑えますか?
  • 輻射:冬、室内で「冷気を感じやすい場所」はどこになりそうですか?その対策は?
  • 対流:吹き抜けの上下温度差をどう見立てて、空気をどう循環させますか?

まとめ

  • エアコン暖房の説明は、熱の3原則のうち主に対流の話になりやすく、100点満点中「33点」になりがちです。
  • 高気密高断熱(伝導)で土台を作り、「輻射での熱ロス」まで整えると体感が上がります。
  • 吹き抜けは「上下温度差」「窓まわり」「足元の体感」がポイントです。
  • 3原則で整理すると、家の「暖かさの設計」が見えます。

「暖かい家」は、断熱材や空調設備だけでなく「理屈と設計」で作れます。住まいづくり真っ最中の方は、ぜひ熱移動の3原則で整理してみてください。

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あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

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