みなさんこんにちは。
京都市で住まいづくりを手掛ける「あまねこう」工事担当の中川です。

先日、お墓参りに行ってきました。気温は35℃。クルマから降りた瞬間、刺すような暑さが全身を包み込みます。

お墓は山の斜面を切り開いた場所にあり、コンクリートの階段や擁壁が要所要所に見られる造りです。

このときの体験で、「暑いと感じる理由」と「涼しさを生む環境」の違いを、はっきりと実感できました。

木陰に入ると一気に涼しい理由

お寺の入り口でお水を汲み、坂道と階段を登っていきます。2分ほどの道のりですが、とにかく暑い…。急な階段で体力も奪われ、「余計に暑い」と感じます。

ところが、大きな木陰に入った瞬間、体感温度がぐっと下がり「めっちゃ涼しい」と感じます。樹木が直射日光を遮り、日射遮蔽効果を発揮してくれるからです。

日陰は涼しい――当たり前のようですが、実際に歩きながら「暑い」と「涼しい」を繰り返すと、日射遮蔽の重要性を身体で理解できますね。

コンクリートの日陰は意外と涼しくない

お参りを済ませ、帰り道でも同じように「暑い→涼しい」を繰り返していましたが、ふと違和感に気づきました。

日陰にいるのに、思ったほど涼しくない場所があるのです。

それは、コンクリートの階段や擁壁のそばにいるとき、でした。

コンクリートは日射を浴びると熱を吸収・蓄熱し、その後ゆっくり放射します。日陰になっていても、蓄えた熱が輻射熱として放たれ、体感温度を上げてしまうのです。

一方、樹木の日陰では、木の表面温度は人間の体温より低いことが多く、放射熱もほとんど感じません。むしろ体温を少し吸収してくれるような感覚があります。

暑さの正体は「日射」と「輻射熱」

今回の体験から、暑さの原因は単なる日射だけでなく、周囲の環境からの輻射熱にも大きく左右されることを改めて実感しました。

  • 日射:太陽からの直接の熱エネルギー
  • 輻射熱:温められた物体(コンクリートやアスファルトなど)から放たれる熱

木陰は日射遮蔽効果と低い表面温度により涼しさを提供しますが、コンクリートの日陰は日射が遮られても輻射熱の影響で涼しさが半減します。

住まいづくりにも活かせる知識

せっかく得たこの体験は、住まいづくりにも活かせます。

  • 外構に植栽を活用する:夏場の直射日光を遮り、輻射熱を減らす
  • 外壁や舗装材の素材選び:蓄熱しにくい、または熱放射の少ない素材を採用
  • 日射遮蔽の計画:庇やルーバー、植栽で日差しを遮る

こうした工夫は、冷房効率を高め、省エネにもつながります。

日陰の温度差を測る簡単な実験方法

今回のような木陰とコンクリート日陰の違いは、実際に温度を測ってみるとよくわかります。用意するのは赤外線温度計(ホームセンターやネットで数千円程度で購入可能)だけです。

  1. 晴れた日の昼過ぎに、木陰の地面とコンクリートの地面をそれぞれ測定
  2. 日向部分の同じ素材も測定し、温度差を比較
  3. 木陰とコンクリート日陰でどれくらい差が出るか記録する

これをすると、体感温度の差と実際の表面温度の差が一致していることがよくわかります。
家づくりや外構計画の際に、この結果を参考にすることで、夏の快適さを科学的に高められます。

写真は撮れなかったけれど…

今回はお墓参りだったため、写真でお伝えできないのが残念ですが、体感としてはっきりと温度差を感じられる貴重な経験でした。

これからの家づくりでも、「直射日光」と「蓄熱素材からの放射熱」の両方を意識することで、夏の快適性を大きく高められると感じています。

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。

そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼い頃から自然と建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、様々な建築会社で28年以上にわたり経験を積む。営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまで幅広く担ってきた。

2023年に独立。
現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。
「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」などの資格を活かし、「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを重視した住まいづくりのサービスを提供している。

住まいづくりで悩む方々へ

「他社で質問しても今ひとつハッキリしない」
「いろいろ勉強してからスタートしたい」

いい家を建てたいなら、
いい住まいづくりをしないと失敗します。