京都市で「土地から注文住宅」を考える方が増えています。
一方で、進め方の順番を間違えると、途中で計画が不安定になりやすいのも事実です。

よくあるのは、土地を先に決めてから建物の打ち合わせを進める流れです。すると途中で、

  • 建物に回す予算が足りない
  • 外構や地盤などの費用が後から増える
  • 希望の間取りや性能を削ることになる

といった形で、結果的に「土地は満足だけど家は妥協」が起きやすくなります。

結論から言うと、京都市で土地から家づくりを進めるなら、順番はこれが安定します。

①資金計画 → ②土地決定 → ③建物検討

「土地から始める」というのは、土地を最初に確定するという意味ではありません。
総予算の枠を先に固めたうえで土地を選び、土地が決まってから建物を具体化する。これが、無理のない進め方になります。

なぜ「土地から探す」と失敗しやすいのか

土地探しから始めること自体が悪いわけではありません。

問題は、総予算が固まらないまま土地を“確定”させてしまうことです。土地探しは後戻りが難しく、条件によって建物の自由度や追加費用が変わります。

特に京都市は、土地によって「建て方の条件」が変わりやすい傾向があります。

高さの制限や道路条件の確認など、建築側の検討が必要な項目が絡みやすいので、土地だけ先に決めると、あとから計画が崩れる原因になりやすいのです。

土地に予算を使いすぎる問題

京都市の土地探しは、希望エリアが絞られるほど競争になりやすく、気持ちも急ぎがちです。悩ましいのは「この土地を逃したくない」から、土地代に予算を寄せてしまうことです。

土地代に予算を寄せすぎると、予算調整できるのは建物側しかありません。

結果として、断熱や窓、収納、造作、間取りの余白など、住み心地に直結する部分を削る形になりやすくなります。

土地にお金をかけること自体が悪いのではありません。ただ、土地に寄せるほど、建物の満足度が下がる方向に力が働きやすいという点は、最初に理解しておいた方が安全です。

建物費用を軽く見積もってしまう問題

土地探しの初期は、不動産会社が窓口になるケースが多いです。

不動産会社は土地情報に強い一方で、建築費(建物本体だけでなく、付帯工事・外構・地盤などを含めた総額)を精度高く読むのには、専門領域が違うため難しい場合があります。

ここで起きやすいのが、次の考え方です。

  • 「建物はあとで考えればいい」
  • 「とりあえず土地を押さえてから」

しかし実際には、土地が決まった後に「思っていたより費用がかかる」ケースがほとんどです。土地は価格だけでなく、形状・高低差・道路条件・周辺環境などで、建物計画と費用が変わるためです。

「建物はあとで」という進め方は、後々の予算調整が効かなくなりやすい点で注意が必要です。

総予算が曖昧なまま進む怖さ

もう一つの落とし穴が、総予算の基準が曖昧なまま土地を見始めることです。
この状態だと判断基準が「その土地が欲しいかどうか」だけになり、冷静な比較が難しくなります。

さらに、「いくら借りられるか」を基準にしてしまうと、生活の余裕が削られやすくなります。借入可能額は金融機関の判断であって、家計が長期で安定するかどうかとは別軸だからです。

土地を前にしたときに迷いが強い人ほど、まずは土地ではなく「総予算の枠」を固めた方が、結果的に判断が楽になります。

正しい順番① 資金計画から始める理由

土地からの注文住宅で、最初に固めるべきは土地の候補ではなく、資金計画です。資金計画が決まると、土地探しの判断が一気に安定します。

資金計画に“正解”はない

「年収の何倍まで」「返済負担率は何%まで」など、目安は山ほどあります。参考にはなるのですが、それがそのまま“正解”になるわけではありません。家計は家庭ごとに条件が違うからです。

たとえば、同じ年収でも次のような違いがあります。

  • 共働きが続く前提か、どこかで働き方を変える可能性があるか
  • 教育費をどう考えるか
  • 車が必要か(台数・買い替え)
  • 趣味や旅行など、家計の優先順位
  • 将来の貯蓄をどう確保するか

目安は便利ですが、最後は「自分たちの生活に合うか」で決めることが大切です。

初心者が最初に決めるべきは「毎月いくら払えるか」

資金計画で一番重要なのは、総額よりも月々です。
初心者ほど「いくらの家が買えるか」を先に考えたくなりますが、家計を守るのは「毎月の無理のなさ」です。

考え方はシンプルです。

  1. 手取りを基準にする(額面ではなく、実際に残るお金)
  2. 生活に必要な固定費と変動費をざっくり考える
  3. 教育費・車・趣味・旅行・老後など“将来の見込み”も少し入れる
  4. その上で、毎月の支払い上限を決める

ここは、家づくり初心者が最初に押さえるべきポイントです。

「借りられる額」ではなく「払える額」を、月々で決める。

これが、土地探しの判断を安定させます。

「借りられる額」ではなく「払える額」

金融機関は「貸せるか」を判断します。

一方で、家計にとって大切なのは「払い続けられるか」です。

このズレを放置すると、土地契約後に「建物の予算が足りない」「外構や諸費用が乗って苦しい」といった形で表に出ます。

資金計画は“家を買うための計算”というより、“家計を守るための設計”です。ここが固まると、土地の判断は一気に楽になります。

正しい順番② その予算の中で土地を探す

資金計画が固まったら、次は土地です。

ここで大事なのは、土地探しの前に「総予算の内訳」をざっくりでも作っておくことです。土地からの注文住宅は、費用が「土地+建物」だけで終わらないからです。

総予算の内訳を知る

最低限、次の箱で考えておくとブレが減ります。

  • 土地代
  • 建物本体
  • 付帯工事(給排水引込、電気、解体、仮設など)
  • 外構(駐車計画・高低差・境界条件など)
  • 諸費用(手続き・税・ローン関連など)
  • 地盤改良(必要性・規模は土地で変わる)
  • 京都市特有の条件対応(該当する場合)

この「箱」を先に作ると、土地を見たときに判断ができます。逆に、箱がないままだと「土地が良いかどうか」だけで決まりやすくなり、あとから全体が崩れやすくなります。

京都市で注意すべき土地条件

京都市で土地を見るときは、価格や駅距離だけではなく、建てやすさを必ず確認します。特に注意したいのは次のような点です。

  • 前面道路の条件(建築できるかどうかに直結)
  • 道路幅や接道(制限や計画への影響が出る場合がある)
  • 地盤(改良が必要なケースがある)
  • 高低差(造成・外構費が膨らみやすい)
  • 高さや景観などの条件(設計が制約を受ける場合がある)

この中でも初心者が見落としやすいのが、道路条件です。

「この土地、建て替えできるのか」「計画が成立するのか」は、道路条件の確認が入口になります。土地だけで判断してしまうと、途中で計画が止まってしまうことがあります。

不動産会社に依頼する時のポイント

不動産会社に土地探しを依頼する場合、伝えるべきことは難しくありません。大事なのは「土地だけで判断しない」という前提を共有することです。

  • 総予算の上限がある(上限を明確に)
  • 建物込みで検討している(土地に寄せすぎない)
  • 建物の希望条件(駐車台数・延床の目安など)を伝える

この3つを言語化するだけで、提案の方向性が変わります。土地に予算を寄せすぎず、建物に必要な余白を残す。土地探しは、この考え方が重要です。

正しい順番③ 土地が決まってから建物を考える

「建物は後でいい」という意味ではありません。

正確には、建物の具体化は土地が決まってからしか進められないという意味です。土地が決まると、設計条件が確定し、間取りも費用も現実に落ちます。

土地が決まると設計が具体化する

土地が決まると、少なくとも次が確定します。

  • 高さやボリュームの条件(地域や周辺状況で変わる場合がある)
  • 採光条件(隣地・道路・周辺建物で変わる)
  • 駐車計画(間口・出入り・勾配など)
  • 外構計画(高低差や境界条件)

「延床〇〇坪」を想定していても、土地条件で成立する間取りは変わります。だから、土地が決まる前に「完璧な間取り」を固めようとすると、後で崩れやすくなります。

土地が決まらないと間取りは決まらない理由

よくあるのが、「希望を前提にしたプラン」を先に固めてしまうパターンです。

土地がその条件に合わなければ、プランは作り直しになります。

土地が決まる前にやるべきは、間取りの完成ではなく優先順位の整理です。

たとえば、「明るさ」「家事動線」「収納」「駐車」「庭」「将来の部屋」など、何を優先するか。ここが決まっていると、土地が出てきたときに判断が早くなります。

不動産会社だけに相談するのは危険?

不動産会社だけに相談することが必ず悪いわけではありません。

ただ、土地から始める注文住宅は、土地と建物が“同時に影響し合う”ため、片手落ちになりやすい点は意識しておくべきです。

不動産会社の強みと弱み

不動産会社の強みは土地情報です。出物の速さ、相場感、売主側事情など、土地探しの現場情報は頼りになります。

一方で、建築費や付帯工事、外構、地盤改良などは、土地条件と建物計画がセットで絡むため、土地単体では精度を上げにくい領域です。

ここは「誰が悪い」ではなく、専門領域の違いとして理解しておくと良いと思います。

住宅会社にも同時に相談するメリット

住宅会社(工務店)を早めに絡めるメリットは、次の3つです。

  • 建築費の「リアルな概算」が出る
  • 地盤改良・造成費など、土地条件由来の費用を事前に読みやすい
  • 総予算の整合性が取れる(家計→土地→建物が一本化される)

土地は不動産、建物は建築。

この2つを同じ土俵で考えられれば土地購入の判断が安定します。土地の判断が安定すると、結果的に建物側の満足度も上がりやすくなります。

京都市で土地から注文住宅を成功させるための3原則(まとめ)

最後に、要点を短くまとめます。ここを押さえるだけでも、家づくりの安定度は変わります。

  • 毎月の支払い上限を先に決める(借りられる額ではなく、払える額)
  • 総予算を固定して土地を探す(土地に寄せすぎない)
  • 土地と建物を分けて考えない(土地段階から建築費・付帯費を同時に見る)

こんな人は一度立ち止まってください

次に当てはまる方は、一度だけ立ち止まって、順番を整えることをおすすめします。

  • 土地が先に見つかって焦っている
  • 不動産会社に「この土地は早い者勝ち」と言われて判断が急いでいる
  • まだ建築費の概算(付帯・外構も含む)を聞いていない
  • 道路条件など、建てられる前提の確認が済んでいない

焦りそのものは自然です。ただ、順番を守って判断材料を揃えるほど、後悔の確率は下がります。

まとめ|順番を間違えなければ家づくりは安定する

土地から始める家づくりは、「土地を最初に決める」という意味ではありません。

資金計画 → 土地 → 建物 の順番を守るだけで、判断が安定し、後からの後悔が減ります。

京都市は、土地によって建て方の条件が変わりやすく、土地単体の魅力だけで決めると、後から計画が揺れやすい場面があります。だからこそ、総予算の枠を先に作り、土地と建物をセットで考えることが大切です。

土地探しを始める前に、まずは「毎月いくらまでなら無理なく払えるか」を決めてください。

そこから総予算を固めて土地を探す。この順番を守るだけで、家づくりは驚くほど安定します。

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。

そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

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