
家づくりでは、どうしても「完成」までをゴールに考えてしまいがちです。
図面ができて、上棟して、引き渡しの日を迎える。そこが夢のマイホームのスタート。
けれど実際の暮らしは、その日から始まります。
住み始めてから気づく「思ったよりお金がかかる」「使いにくい」「維持が大変」といった想定外は、誰にでも起こり得るものです。
今回は、建てたあとに多くの人が経験する“後悔の出費と変化”を取り上げ、どう防ぐべきかを考えてみましょう。
想定外の出費①:住んでから発生する“維持費”

光熱費が思ったより高い
近年は吹き抜けや大空間リビングの人気が高まっていますが、広さに比例して冷暖房効率は下がります。
断熱や気密性能が十分でない家では、冬の暖房費や夏の冷房費が想定以上に膨らみ、年間で数万円の差になることもあります。
「快適な温度を保つ家」は、建築時の仕様だけでなく、日々の光熱費にも直結するのです。
メンテナンス費用の盲点
外壁・屋根・給湯器・換気システムなど、家は年月とともにメンテナンスが必要になります。
とくに外壁の塗り替えや防水補修は10〜15年ごとにまとまった費用が発生します。自然素材を選ぶ場合でも、塗り替えや定期的な手入れを前提に計画しておくことが大切です。
「建てたときの金額」だけでなく、「10年・20年先にどんな出費があるか」を想定しておくことで、将来の負担を減らせます。
想定外の出費②:家具・外構・カーテンなどの“別予算”

家は建ったのに“外構が未完成”
意外と多いのが、「引き渡し後に外構工事を後回しにしてしまう」ケースです。
建物の見積もりには外構が含まれていないことが多く、駐車スペースやフェンス、植栽などで100万〜300万円。場合によってはもっと必要になることも。
見た目だけでなく、雨水処理や防犯面にも関わるため、外構も含めた“住まいの完成形”を最初から計画しておくことが大切です。
家具・カーテン費用も見落としやすい
新しい間取りに合わせて家具を買い替える人は多いですが、造作家具や特注サイズのカーテンは想像以上に高額です。
「ここに収納があれば便利だったのに」と後悔する前に、設計段階で生活動線と一緒に“家具配置”まで考えておくと安心です。
暮らしの変化で起こる“想定外”

家族構成・働き方・収納量の変化
こどもの成長や在宅勤務の増加など、暮らしのかたちは数年で変わります。
最初は十分と思っていた収納が足りなくなったり、ワークスペースが必要になったり。
柔軟に対応できる間取りにしておけば、暮らしの変化をストレスなく受け止められます。
メンテナンスしにくい家は“暮らしの負担”になる
吹き抜けの照明交換、高い位置の窓掃除、複雑な構造の外壁。
設計の段階で「メンテナンス性」を意識していないと、将来的に維持の手間が増えます。
「便利」や「おしゃれ」を優先しすぎず、暮らしの現実を見据えた設計こそが、長く快適に住むための鍵です。
防ぐためのポイント
- 「初期費用」だけでなく、「10年・20年後の維持費」を含めた総額を見積もる
- 家具・外構・カーテンを別予算ではなく“家づくりの一部”として考える
- 将来の家族構成や働き方を見越した柔軟な間取りにする
- 「建てたあとの暮らし」を提案できる工務店を選ぶ
これらを押さえておけば、完成後に感じる“予想外の出費”を大幅に減らせます。
まとめ
家づくりの本当のスタートは、引き渡しのその日から。
建てたあとにかかる費用や生活の変化を理解しておくことで、「想定外の出費」に振り回されない家づくりができます。
家は建てた瞬間ではなく、“暮らしながら完成していくもの”。
だからこそ、家計と時間、そして心に余裕を持てる住まいを、最初の計画段階から考えていきましょう。
京都市で家を建てるなら地元の工務店へ
京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。
そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。
この記事を書いた人

中川 高士
京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。
実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。
2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。
【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員
「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。
住まいづくりで悩む方々へ
「他社で質問しても今ひとつハッキリしない」
「いろいろ勉強してからスタートしたい」
いい家を建てたいなら、
いい住まいづくりをしないと失敗します。