注文住宅を検討する際、「自然素材は高い」というイメージをお持ちの方は少なくありません。

無垢材や漆喰などは素材そのものが高価で、施工にも職人の技術が必要になるため、見積もりの段階では化学建材を使った住宅よりも高額に感じることが多いのです。

しかし、家は一度建てて終わりではなく、数十年にわたって暮らしていくものです。長い目で見れば、自然素材はむしろ経済的に暮らしを支えてくれる選択肢になり得ます。

本記事では、自然素材が「長期的に経済的」といえる理由を、京都の家づくりの視点から解説します。

自然素材が「高い」と言われる理由

自然素材の家が高いとされる大きな理由は、素材の単価と施工技術にあります。

無垢材や漆喰は工業製品の建材と違い、均一性を保つために手間がかかります。さらに、扱いに慣れた職人の技術が不可欠で、その分人件費が上乗せされます。

また、見積もり段階では建物の本体価格に自然素材の費用がしっかり反映されるため、表面的には「高い家」という印象を持ちやすいのです。

長期的に経済的になる3つの理由

耐久性とメンテナンス性

自然素材の大きな強みは耐久性にあります。

無垢材は使い込むほどに味わいが深まり、漆喰は汚れを自ら分解して白さを保つ性質があります。これは「劣化」ではなく「経年美化」と呼ばれるもので、年月が価値を高める素材といえるでしょう。

一方で、ビニールクロスや合板フローリングは10〜15年程度で張替えややり替えが必要になることが多く、繰り返すうちに修繕コストが膨らんでいきます。自然素材を選ぶことで、こうした長期的な修繕費用を抑えられるのです。

健康コストの削減

もう一つの大きな理由は健康面です。

自然素材は化学物質をほとんど含まないため、シックハウス症候群やアレルギーといった健康被害のリスクを減らせます。

日本人一人あたりの生涯医療費はおよそ2,700万円といわれています。そのうち65歳以降の医療費が約6割を占めており、高齢期にかかる負担は大きなものです。

もし住まいの空気環境が原因で健康を損なえば、日々の暮らしの質が下がるだけでなく、医療費の増加という経済的負担にもつながります。自然素材によって快適で健康的な環境を維持することは、結果的に生涯コストの削減につながるのです。

光熱費の削減効果

自然素材は断熱・調湿性能に優れています。

漆喰の壁は湿度を調整し、夏場の蒸し暑さや冬の乾燥を和らげます。無垢材の床は蓄熱性が高く、室内の温度変化を緩やかにしてくれます。こうした特性は冷暖房効率を高め、光熱費の節約につながります。

特に京都は「夏は蒸し暑く、冬は底冷えする」という厳しい気候条件があります。自然素材を取り入れることで、この地域特有の気候に適した快適さと省エネ効果を得られるのです。

京都ならではの視点

京都で家を建てる場合、景観条例の存在を無視できません。

外壁や屋根の色彩に制限がある地域では、漆喰や自然木のように伝統的な素材が調和しやすく、街並みに馴染むだけでなく、将来売却を考える際の資産価値維持にもつながります。

また、古い町家や既存住宅のリノベーションにおいても、自然素材は相性が良く、建物の雰囲気を壊さずに現代的な快適さをプラスできる点が評価されています。

まとめ

自然素材は確かに初期費用が高く見えるかもしれません。

しかし、長持ちする素材による修繕費の削減、健康被害を防ぐことによる医療費の削減、そして光熱費の節約を考えれば、長期的にはむしろ経済的といえます。

京都で注文住宅を建てるなら、今のコストだけで判断するのではなく、未来の暮らしにかかるトータルコストを見据えることが大切です。自然素材は「高い家」ではなく「賢い家」を実現するための選択肢なのです。

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。

そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

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