
中古住宅を購入する方の中には、「そのまま住む」だけでなく、建て替え(新築)やリフォーム、リノベーションを前提に検討している方も多くいらっしゃいます。
ところが実際には、「思っていた工事ができなかった」「費用が大幅に膨らんだ」といった後悔につながるケースが少なくありません。
今回は、中古住宅購入後に新築・リフォーム・リノベーションを計画する際に起こりやすい“落とし穴”について整理しました。これから家探しをされる方はぜひ参考にしてください。
なぜ中古住宅購入で「後悔」が起きるのか

中古住宅は一見お得に見えますが、購入後の計画が思った通りに進まないことがあります。原因は大きく3つに分けられます。
- 建物の構造的な制約
- 想定外に膨らむ費用負担
- 法令や条例による制限
パターン①:新築(建て替え)での落とし穴

解体費用が想定以上にかかる
古い住宅ではアスベストを含む建材が使われている場合があり、解体費用が通常の倍以上に膨らむこともあります。
また、狭小地や近接建物がある場合は解体作業自体が難しく、追加費用がかかります。
宅地造成や高低差による追加工事
宅地造成等規制区域や高低差のある土地では、コンクリート擁壁の設置などが必要になることがあります。
結果として、数百万円規模の追加工事費が発生するケースもあります。
京都特有の景観条例や法令制限
京都市中心部では景観条例により外観や屋根の形・色が制限されます。さらに建ぺい率や容積率の制約により、希望の大きさの建物が建てられないこともあります。
パターン②:リフォームでの落とし穴

壁を抜けないケース
広いLDKを想定していたものの、耐力壁であるため撤去できず、希望の空間が実現できないケースがあります。
水回りの移動が難しい
給排水管の制約から、キッチンや浴室を思った場所に移動できないことがあります。結果的に動線計画が大きく崩れてしまいます。
解体後の想定外の劣化
解体して初めてシロアリ被害や腐朽が発覚し、補修・交換費用が発生することがあります。リフォーム予算が大幅に膨らむ要因です。
パターン③:リノベーションでの落とし穴

大空間や吹き抜けが作れない
構造材の関係で、天井を上げたり吹き抜けを作ったりすることが不可能な場合があります。設計段階では可能に見えても、実際には安全性の面で断念せざるを得ないケースも。
古い設備の全面交換
築年数の古い住宅では、配管や電気配線が老朽化しており全面交換が必要になることがあります。デザイン重視で計画しても、設備工事で予算が大きく圧迫されます。
景観条例によるデザイン制約
外観を大胆に変更するリノベーションは、京都市の景観条例により制限を受けることがあります。「理想の外観にしたい」と思っても、条例で叶わないケースがあるのです。
後悔しないための共通チェックポイント

- 構造的に希望の工事が可能か、購入前に工務店へ相談する
- 解体・リフォーム・リノベにかかる費用を事前に見積もりしておく
- 法令や条例を行政窓口で確認する(特に京都市は規制が多い)
- 信頼できる工務店を購入前からパートナーにして計画を進める
まとめ
中古住宅を購入してから「リフォームや建て替えをしよう」と考えても、構造・費用・法令の制約によって計画通りに進まないことがあります。
新築・リフォーム・リノベーションのいずれを前提にする場合も、購入前から慎重に確認しておくことが重要です。
京都市で家を建てるなら地元の工務店へ
京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。
そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。
この記事を書いた人

中川 高士
京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。
実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。
2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。
【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員
「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。
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