「とりあえず仮契約を」と言われていませんか


「こんなはずじゃなかった…」「仮契約って言ってたやん…」

たまに聞くこの状況。住まいづくりの中で度々聞く「仮契約」という言葉。この言葉を今、ハウスメーカーや住宅会社、工務店から聞いている人はとにかくストップです。

このブログのポイント

・マイホーム建築は高額です。高額ゆえに契約の際に不安で躊躇している時に「仮契約で」と言われることがよくあります。実は法律上「仮契約」というものは存在していません。

・申込金、手付金など契約金に似ているけれど違うものがあります。その性質と契約行為との関係を解説します。

仮契約ってどんな契約


マイホーム建築の打ち合わせが終わり、いよいよ契約の時。高い予算ですから不安で仕方がない時に、住宅会社から「まずは仮契約で」と打診される。なんとなくほっとして「では仮契約で」となるのですが、この仮契約とは一体なんでしょうか。

仮契約は法律に存在しない

法律上、契約行為は口頭でも成り立ちます。しかしマイホームのような高額で難しいことを口頭で契約するには条件などが不明確すぎ、特に消費者にはリスクが高すぎます。

故に、さまざまな条件を明記し、発注者も受注者も契約内容で後々困らないようにするために「契約書」を使って契約をするわけです。これが契約行為。仮契約という用語は法律にはありません。

申し込み

契約への意思表示として申し込み制度を持っている住宅会社は存在します。契約に至るまでの条件を示し、その条件が満たされた場合に契約となるわけです。ですから「申し込み」は契約ではありませんし、仮契約でもありません。

仮契約|住宅会社の都合上の制度

文字通り、仮に書類は「仮契約書」だったとしても、契約書である以上は印紙税も記載の金額に対して発生します。予約契約といえど契約ですので「仮契約」はやめた方が消費者にとってはリスクがなくなります。

不動産における仮契約


建築ではなく、マイホーム購入の場合はどうでしょうか。土地や建売、マンションを購入する際の仮契約はあるのでしょうか。

重要事項説明

不動産売買において、宅地建物取引業者(不動産会社)は契約前に物件に関する大切な項目を書面にて説明する義務を負います。

これを重要事項説明と言います。この重要事項説明の前に契約行為をするのは法律違反です。ですから物件を押さえるために「仮契約」というのもあり得ません。

手付金は契約金ではない

不動産売買においては、契約時に手付金を支払います。手付金は契約金ではありません。簡単に書くと、手付金は「解約(キャンセル)する権利を買う」お金です。手付金を支払えば、理由に関係なくキャンセルできる、という性質のお金なのです。

手付金を契約金だと思う方が多いようです。違いますので注意が必要です。またさらに怖いのは、建築工事の契約金を、手付金だと説明し解約(キャンセル)の場合に没収する住宅会社や工務店が存在します。

工事契約金は、請負工事契約の意思表示と、工事代金の一部ですから手付金として没収されるお金ではありません。

まとめ


口頭でも書類でも契約行為は約束です。法律上は仮契約などなく、契約という名目であれば法律上は契約行為となります。

見積もりや図面作成のための契約金はあり得ます。申し込み金も同様です。意思表示を示すことと、実務に要する金額の前渡し金という性質です。

いずれにしても、仮契約という言葉を安易に使用するハウスメーカーや住宅会社、工務店は法律の勉強とマナーの意味において足りていないと考えても良いでしょう。

私たちの業務には対価がつきまといます。正々堂々と業務遂行費用であることを説明することが本来のプロの仕事と言えると思います。

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あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。
実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。
2023年に独立。
「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。

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