土台欠損なし|壁給水の妙技

 京都市でリノベーション、注文住宅を手がける「あまねこう」工事担当の中川です。皆さんは土台欠損とか壁給水という用語はご存知でしょうか。

土台欠損|構造材を傷めること

 土台欠損とは、土台という構造材を削ったり穴を開けたりする作業のこと。梁(はり)や柱に同様の作業をすることも欠損と言います。断熱材が無い箇所があれば「断熱欠損」と言ったりします。

 構造材は家、住まいを支える大切な骨組み。削ったりなどの欠損をさせたくないのです。

壁に水道の蛇口をつける場合

 一般の方は壁に水道の蛇口が付いていることは不思議でもなんでもないと思います。しかし建築工事においては、壁から水道が出ているということは、真下から水道管が立ち上がっているということ。

 壁の真下には柱と同じ線上に「土台」と呼ばれる構造材が存在しています。ということは真下からは水道管を立ち上げることはできないのです。

土台欠損で水道蛇口を設置する|NGです

 壁給水で工事をしている木造住宅の現場をよく見かけます。しかしこの土台欠損で給水管を設置しているケースをよく見かけます。

 耐震性がどうだ、とか、安心の施工で、などなど巷には美辞麗句があふれていますが、お客様にはぜひ知っておいて欲しい現実です。

土台欠損せず壁給水の妙

 通常、壁給水で土台欠損がない場合は「設備壁」と呼ばれる壁の厚みを増して隙間を作り配管を通す工事を行います。

 この現場ではデザイン上、壁を厚くすることを避けたかったので違う方法を取りました。床下地の厚みを利用して斜めに配管を立ち上げるという方法です。

 床下地は28mm。仕上げの床材は15mmと厚めのもので施工しているので、ギリギリ狙って取り出します。職人さんががんばってくれました。わがままを聞いていただきありがとうございます。

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。