注文住宅の間取り失敗例|エアコン編|失敗しない方法を伝授します

 京都市で注文住宅を手がける工務店「あまねこう」の中川です。早速ですが、間取りの失敗に通じる実際の相談が先日ありました。ちょっと驚いたので、紹介いたします。どちらもエアコンが絡む話です。

設計ミス

猛暑でエアコン設置したい|分業すると発生する失敗

 最初のお話はエアコンの能力の相談からはじまりました。部屋の大きさに対してどれくらいの能力のエアコンが良いかという話だったのです。しかし話を聞いてると「えっ?」「ちょっと待って」という展開に。

 それは「設置したいところに設置出来ない」という話でした。こちらのお客様は約20年前に、知らない人はいないであろう大手ハウスメーカーで新築。新築当時にはエアコンは必要な部屋だけ設置したとのこと。

 しかしこの猛暑で、新しくエアコンを設置しようとしたら驚くことに「設置できない」と言われたそうです。もちろんその建てたメーカーに依頼してです。

 要因は、構造躯体がエアコン設置部にあり冷媒やドレンが抜けないとのこと。違う場所に設置しなければ、とのことなんですが、いやいやいや…

 エアコンをつけるためのコンセントや下地まであるのに設置できないって。なぜこのようなことが起こるのか。答えの前に、もう1つ事例を紹介します。

間取りは設計士が書くべき

間取りが気に入った|土地を購入して家を建てたい

 こちらの事例のお客様は、気になる土地があり、不動産屋さんが書いた暫定プランも気に入り、購入して注文住宅を建てたい、というご相談。購入決断のために概算の見積もりがあれば判断しやすいとのことで、早速現場調査。そこで発見したことが驚きでした。

 建物の道路側はビルトインガレージで車をギリギリ駐車する間取り。大きな車に乗ってらっしゃるので、車の頭は飛び出るかも。間口側も奥行き側も敷地から15cmくらいしか離れていない。そんなプランでした。

 気づいたことだけでも、建蔽率はオーバー。歩道があり切り下げが必要。但し大通りなので夜間工事になる可能性が大(予算が増加)。間取りは構造的に成り立っていないので建たない。そして敷地いっぱいに建てているのでエアコンの室外機を置く場所もない。

 部屋の中に冷媒を這わしたとして、ガレージ側に室外機を持って来ると車は停められなくなる。そのような間取りでした。暫定の間取りだけで土地の購入を決めていたらとんでもないことになるところです。

まとめ|間取りで失敗しないように

 エアコンの話に戻します。結論を書くと、間取りを描く際にはエアコンの計画を図面に記すこと。これが基本です。間取り図だけを考えるとこのような大失敗をいたします。

 間取りの打ち合わせをする際はエアコンの計画、特に室外機が図面に記載されているかどうか。説明があるかどうか。これらをチェック項目にしてもらえると失敗しないようになると思います。

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。