断熱材と防音の関係とは|知っておくと役立つ知識です

 京都市でリノベーション・注文住宅を手がける「あまねこう」の中川です。早速の余談ですが中川はギターを弾きます。最近はアコースティックばかりですが、家を建てた20年ほど前はエレキギターしか弾いていませんでした。

 エレキギターはアンプに繋ぎ音をある程度出して弾かないと上手くなりません。

 そんな中川は断熱材にロックウールを選んだのです。防音と断熱材の話を紹介します。

防音、吸音の物理を知っておくと便利です

 布団にくるまって大きな声を出しても外には聞こえにくいですよね。誰もが知っている事実です。

 窓を閉めて大きな声を出すのと、窓を開けて大きな声を出すのを比べれば窓を閉めている方が声は聞こえません。

 答えはこれと同じです。この現象を「なぜなのか」と考えるだけで、防音の基本的な知識が身に付きます。

音が熱エネルギーに変わる|繊維系の断熱材が有効です

テナント工事で多少だが防音のために断熱材を使用している様子

 音は振動です。布団の中の羽毛や綿の繊維が音に共鳴し振動します。この振動は熱に変わるのです。熱くて触れないなんてことはないのですが、振動というエネルギーが熱に変わることで音が減衰するのです。

 車のブレーキが摩擦で熱くなるのも似たようなことです。タイヤが回る運動エネルギーが摩擦により止まる。このときブレーキディスクが熱くなっています。運動エネルギーが熱に変わったわけです。

 となると、防音機能を断熱材に持たせたい場合は、繊維系の断熱材が有効なわけです。繊維が細かく、密度の高いものであればあるほど音が減衰されるからです。

テナント工事で多少だが防音のために断熱材を使用している様子・打ち合わせ室になっている

窓を閉めると音が漏れないわけとは

 音は空気の振動であり波です。音波なんて言ったりします。この波は反射をします。窓を閉めると反対側に戻ってくるのです。空気が繋がっていると音という波がそのまま進むのでよく「聞こえる」わけです。

 この原理がわかっていると「漏気(ろうき」がない方が音が漏れないことがわかります。漏気というのは空気の漏れること。要するに気密がしっかりしていると反射を起こし外に空気が漏れにくくなるのです。

 この理屈があるので、中川の自宅はロックウールと気密シートによる気密工事を行なっています。

 本格的な防音工事ではないですが、まあまあのレベルで音が漏れませんので昼間なら楽器の音は外でも気になりません。

 「本格的に防音や遮音をしたいわけではないけれど、多少なんとかなるのなら」というような方がいらっしゃれば、上記のようなことを知っていれば対応できると思います。

 音の物理は建築の話ではないので、住宅会社でも詳しい人は少ないと思います。

 防音が気になる人は、上記のような話を知っている会社に頼むことをオススメいたします。

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。