家づくりを考えるとき、まず最初に気になるのは「価格」ではないでしょうか。

見積書を並べて坪単価を比較し、「この工務店が一番安い」と判断してしまう。そんな光景は今もよく見られます。しかし実際には、「安かったはずなのに、建てて数年後に後悔した」という声も少なくありません。

いま、家づくりの世界では「安さ」ではなく、「考え方」で選ぶ時代に変わりつつあります。

長く快適に暮らすために、本当に見るべきなのは「価格表」ではなく、「その会社が家づくりをどう考えているか」を知ることが大切です。

なぜ「価格」だけで選ぶと失敗するのか

見積書には現れない“品質の差”

同じ坪単価でも、使われる材料や施工の精度、下地の仕上げ方まで、実際の品質はまったく違います。

例えば、断熱材の種類や厚み、下地の木材の含水率、金物の施工精度などは、見積書には数字として表れません。

しかし、その見えない部分こそが「夏の暑さ」「冬の寒さ」「家の寿命」に直結します。

安く見える裏にある“省かれた部分”

価格を下げるために、省かれている部分があることも少なくありません。

下地の量や工程を減らしたり、標準仕様を最低限に抑えておくなど、見た目では分からないコストカットが潜んでいる場合も。

結果として、数年後の補修やメンテナンスで高額な費用が発生し、「最終的に高くついた」というケースも多いのです。

「考え方」で選ぶ時代とは?

家づくりの哲学に共感できるか

工務店ごとに、家づくりに対する「思想」や「哲学」があると思います。

自然素材を使う理由、構造をどう考えるか、長期的な暮らしをどう見据えているか。その姿勢に共感できるかどうかが、これからの工務店選びで最も重要な視点です。

どんなに性能が高くても、思想が合わない家は、住み続けるうちに違和感を覚えます。

暮らしをどう支えるか

家を建てたあと、どのように暮らしを支えてくれるかも見逃せません。

定期点検やメンテナンスはもちろん、住み方の相談に応じてくれるかどうか。

「建てて終わり」ではなく、「暮らしを一緒に育てていく」姿勢を持つ工務店こそ、本当の意味でのパートナーといえます。

京都の工務店選びで意識したいポイント

京都は、夏の湿気・冬の底冷えに加え、景観条例や狭小地といった特殊な条件があります。
こうした地域特性を理解していないと、設計上の不具合や施工トラブルに発展することも。

だからこそ、京都の地形や気候、法令を知り尽くした地元の工務店に相談することが重要です。

地域に根ざした工務店は、土地のクセや近隣の工法を熟知しており、最適な素材選びや施工方法を提案できます。

また、何十年先も同じ地域で活動しているため、アフターフォローも継続的に受けられます。

地元を理解していること自体が「安心の保証」なのです。

見積もり比較よりも大切な「対話」

本当に信頼できる工務店は、「なぜこの仕様にしたのか」を丁寧に説明してくれます。

価格の安さではなく、「暮らしの質」「メンテナンスのしやすさ」「健康への影響」まで考慮した提案があるかどうか。

その「理由のある設計」こそが、良い家づくりの証ではないでしょうか。

見積もりを比較するときは、数字ではなく「対話の深さ」も比べてみてください。

「こういう理由で、この工法を選びました」と答えられる会社は、家づくりに責任を持っています。

まとめ

工務店選びは、価格競争の時代から「価値共感」の時代へ。

「安いから」ではなく、「この会社の考え方に共感できるから」。

そんな理由で選んだ家は、完成後も長く満足できるはずです。

家は建てた瞬間よりも、住み続ける時間の方がはるかに長い。

だからこそ、考え方の合う工務店と出会うことが、良い家づくりの第一歩だと思います。

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。

そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

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