
「中古住宅を購入して、リノベーションで自分たち好みの空間にしたい!」
そう考える方は多いでしょう。しかし、実際には構造や設備、法令の制約によって希望通りにリノベーションができないケースが少なくありません。
今回は、リノベ前提で中古住宅を購入する際によくある“落とし穴”を整理して解説します。
なぜリノベーションが思い通りにできないのか
リノベーション計画が頓挫する原因は大きく3つに分けられます。
- 建物の構造的な制約
- 設備やインフラの制約
- 法令や条例による制約
落とし穴① :構造上の制約

壁を抜けない(耐力壁)
広々としたLDKを実現するために壁を取り払いたくても、その壁が耐力壁である場合は撤去できません。
耐震性を保つために不可欠な壁であり、思い描いた間取り変更ができないことがあります。
吹き抜けや天井高の変更ができない
開放的な空間を求めて天井を高くしたい、吹き抜けを設けたいと考えても、構造梁や小屋組、天井下地の関係で不可能な場合があります。デザイン面の希望が制限されることもあるのです。
落とし穴② :設備・インフラの制約

水回りの移動ができない
排水管の勾配や配管経路の関係で、キッチンや浴室を希望の位置に移せないことがあります。結果として、生活動線の改善が思うようにできないケースもあります。
古い配管や電気配線の全面交換
築古住宅では、配管や電気設備が老朽化していることが多く、全面交換が必要になる場合があります。設備更新に多額の費用がかかり、リノベーション予算を圧迫する原因になります。
落とし穴③ :法令や条例の制約

京都市の景観条例
京都市では景観条例により、外観デザインに制限が設けられています。
特に 外壁塗装の色 は規制の対象となることがあり、「好きな色で塗り替える」ことができないケースもあります。理想のデザインが条例で叶わないことがあるのです。
増築の制限
建ぺい率や容積率の制限により、増築して床面積を増やそうとしても希望通りの広さが確保できないことがあります。リノベーションの自由度が制限される要因となります。
実際によくある失敗事例
- 広いLDKを作ろうとしたが、耐力壁のため壁を抜けず実現できなかった。
- 浴室を2階に移したかったが、排水経路の関係で希望の位置を断念した。
- 外壁を自分好みの色に塗り替えたかったが、景観条例で認められなかった。
後悔しないためのチェックポイント

- 耐力壁や構造の制約を購入前に調査する
- 水回りの移動可否を工務店に確認する
- 配管や電気設備の交換費用を見積もりに含める
- 京都市の景観条例や建築規制を事前にチェックする
まとめ
リノベーションを前提に中古住宅を購入しても、構造・設備・法令の制約により思い通りに進まないことがあります。
「買ってから考えればいい」と安易に決めてしまうと、後悔につながる可能性が高いのです。
購入前に工務店へ相談し、計画の可否や追加費用の有無を確認しておくことが、理想の住まいづくりを成功させる第一歩となります。
京都市で家を建てるなら地元の工務店へ
京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。
そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。
この記事を書いた人

中川 高士
京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。
実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。
2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。
【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員
「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。
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