みなさんこんにちは。京都市で注文住宅を手がける「あまねこう」工事担当の中川です。

京都市南区で進行中の注文住宅の現場から、今回は少し珍しい工法「グラスウールの吹き込み断熱」についてレポートいたします。

準防火地域での断熱材の選定

京都市の市街地はほとんどが「準防火地域」に指定されています。これは火災時の延焼防止を目的としたエリア指定で、建物の構造や素材にも厳しい制限がかかります。

断熱材もその一つ。多くの断熱材は「燃えにくい」特性を持ちますが、準防火地域では「防火認定」がなければ使用できません。たとえば、人気のあるセルロースファイバーは単体では認定を取得していないため、防火サイディングとの組み合わせが必要です。

狭小地ならではの施工制限

今回の現場は隣家との間がわずか30cm。足場が組めないため、外壁材は内側から貼る「内貼り」施工となりました。この工法では使える外壁材が限られ、それに伴い断熱材も制約を受けます。

このような条件の中で選定したのが「グラスウールの吹き込み」でした。

グラスウール吹き込みを選んだ理由

DCP PHOTO

グラスウールは防火認定を取得しており、準防火地域でも安心して使用できる断熱材です。

従来のグラスウールは袋状の製品が一般的で、施工時に隙間が生じやすく、断熱性能にムラが出ることがあります。その点、吹き込み式のグラスウールは以下の点で優れています:

• 隙間なく断熱材を充填できる(断熱欠損の防止)

• 建物形状に合わせた柔軟な施工が可能

• 長期的に安定した断熱性能が得られる

断熱材の施工は省エネ性能や住み心地に直結する重要な工程。初期コストは若干上がりますが、長い目で見れば断熱欠損による不具合の方がリスクです。

今後の工事について

断熱吹き込み工事は無事に完了し、お施主様にもご確認いただきました。納得のいく施工内容となり、工事担当としても一安心です。

このあとも順調に工事を進め、安心・快適な住まいづくりに努めてまいります。

断熱材の施工や、断熱欠損に興味のある方には以前に書いたブログが参考になると思います。
ぜひご参照ください。

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京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。

そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

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