家づくりの打ち合わせは、理想の住まいを形にしていくための大切な時間です。

ところが「設計打ち合わせは2回まで」「インテリアコーディネートは2回まで」など、打ち合わせの回数に制限を設ける住宅会社や工務店があるんです。

それ以上は有料オプション——そんなルールが存在するのです。

もちろん、人件費や時間のコストが発生するのは事実です。設計士やコーディネーターが打ち合わせに多くの時間を割くほど、会社の採算は悪化します。

一見すると「効率的」「合理的」に思えますが、本当にそれでよいのでしょうか。

「回数制限」の裏側にある住宅会社の事情

なぜ回数制限を設ける会社があるのか。

背景には、人件費の高騰とスケジュール管理の複雑化があります。注文住宅の現場では、一人の担当者が複数の案件を抱えることも多く、限られた時間の中で効率的に打ち合わせを進める仕組みが求められています。

その結果、「2回まで無料」「3回目からはオプション」というような形で線引きされるようになりました。

経営的には理解できる部分もあります。

しかし、問題はそのルールが顧客にどこまで共有されているかです。
契約時に十分な説明がないまま制限が設けられていれば、それは“透明性の欠如”とも言えそうです。

限られた打ち合わせが生む「妥協」と「不安」

打ち合わせの回数が限られていると、無意識に「これ以上聞いたら悪いかな」「もう時間がない」と感じてしまう施主もいるでしょう。

特に初めて家を建てる人ほど、細かな疑問を遠慮しがち。結果として「まあいいか」「相手はプロだし大丈夫だろう」と妥協し、完成してから後悔するケースも少なくありません。

本来、家づくりとは図面を仕上げることではなく、暮らしの形を一緒に考える時間です。

そこに必要なのは「何回打ち合わせしたか」ではなく、「どれだけ納得できたか」です。数ではなく「密度」が本質だといえます。

回数よりも「時間の質」を見極めよう

とはいえ、打ち合わせが無制限であれば良いわけでもありません。ダラダラと続く打ち合わせは、かえって方向性を見失います。重要なのは、一回ごとの時間をどう使うかです。

  • 打ち合わせの目的が明確か
  • 決めるべきことの優先順位が整理されているか
  • 担当者が施主の生活を理解しようとしているか

こうした点が整っていれば、たとえ回数が少なくても満足度は高くなります。逆に、会社側が「回数で線を引く」発想に偏っている場合、施主との信頼関係は築きにくいでしょう。

筆者が以前勤めていた住宅会社では、打ち合わせは3回までというルールがありました。3回を超えた場合、「なぜ超えたのか?」ということは確認されず、回数超えに関して叱責されたことを思い出しました。

家づくりに必要なのは「時間」よりも「理解」

打ち合わせは、単なる確認作業ではなく、価値観を共有するプロセスです。

効率を求めること自体は悪いことではありません。しかし、施主の想いを理解する時間を削ることは、家づくりの本質を削ることでもあるのです。

家は図面通りに建つものではなく、人と人との対話から生まれるもの。

「回数制限」という仕組みを前にしたとき、私たちは「コストの合理化」よりも、「納得の時間」を大切にする姿勢を忘れてはいけないのではないかと思います。

これから家づくり、住まいづくりを進めていく方々の参考になれば幸いです。

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。

そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

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