家づくりで「どれが正解?」と迷うあなたへ

家づくりを考え始めると、最初にぶつかる問題の一つが「木造・鉄骨・RC(鉄筋コンクリート)住宅のどれが良いの?」という疑問です。

展示場や口コミを調べると、

  • 「RCが一番強い」
  • 「木造はコスパが良い」
  • 「鉄骨なら安心」
    といった意見が飛び交い、余計に混乱してしまう人も多いでしょう。

しかし実は、「工法の違い=安心や快適さの違い」ではありません。大切なのはどんな構造・工法で建てるかよりも、どのように設計し、性能を確保しているかなのです。

木造・鉄骨・RCの特徴をざっくり整理

まずはそれぞれの工法の特徴を簡単に紹介します。

木造住宅の特徴

  • 他工法に比べコストを抑えやすい
    (部材調整の範囲が広い)
  • 間取りの自由度が高い
  • メンテナンスを丁寧にすれば長寿命

鉄骨住宅の特徴

  • 強度が高く、大空間や吹き抜けがつくりやすい
  • 耐火性が高い
  • 初期コストがやや高い
  • 断熱・遮音には工夫が必要

RC住宅の特徴

  • 耐火・遮音性に優れる
  • 外観が重厚で資産価値が高め
  • 初期コスト・メンテナンス費用が大きい
  • 断熱・結露対策が不十分だと快適性・健康性に欠ける

どの工法にもメリット・デメリットがあり、「絶対的な正解」はありません。

構造の違いより大切な「耐震等級」

日本で家を建てるうえで最も気になるのは「地震に強いかどうか」でしょう。ここで注目すべきは耐震等級です。

耐震等級とは?

  • 等級1:建築基準法を満たす最低基準
  • 等級2:等級1の1.25倍の地震力に耐えられる
  • 等級3:等級1の1.5倍の地震力に耐えられる(最高等級)

同じ等級なら工法の違いは関係ない

簡単に説明すると、木造でも鉄骨でもRCでも耐震等級3を取得していれば同じレベルの地震対策ができているということです。

つまり、「RCだから安心」「木造は弱い」という単純な話ではないのです。

東日本大震災以降の進化

震災以降、各工法で耐震性能の実験や改良が進んでいます。

今は「どの工法を選ぶか」よりも「どの等級で建てるか」を重視すべき時代です。

工法の違いより「構造計算」が安心のカギ

耐震等級と並んで重要なのが構造計算です。

壁量計算と構造計算の違い

  • 壁量計算:最低限の壁の量を満たしているかを確認する簡易な計算
  • 構造計算:建物全体の強さを数値で確認する詳細な計算

多くの木造住宅は壁量計算だけで済ませるケースが多いですが、本当に安心できるのは構造計算を行っている家です。

また2025年4月の建築基準法改正により、構造図書の申請や構造計算の必要性などが高まりました。より一層安心な方向に進んでいます。

許容応力度計算をしているか

「許容応力度計算」は、地震や風、積雪などあらゆる荷重を考慮して安全性を確認する高度な方法。これを行っているかどうかで、同じ工法でも耐震性は大きく変わります。

工法そのものより、「構造計算をしているかどうか」が本当の安心の分かれ目になります。

コスト・メンテナンス・快適性で比較する視点

家は建てて終わりではありません。暮らしやすさや維持のしやすさも重要です。

建築コストとメンテナンス

RCや鉄骨は初期コストが高めで、メンテナンス費用も大きくなりがちです。

木造は比較的コストを抑えた建築を検討できますが、コスト重視な建物や、メンテナンスを怠ると耐久性が落ちます。

断熱・気密が快適性を決める

「夏暑い・冬寒い」と感じるのは工法よりも断熱・気密性能の差です。どの工法を選んでも、この性能を確保して快適に暮らせるよう検討が必要です。

ランニングコストも含めて考える

光熱費や修繕費といった「住んでからのコスト」も忘れてはいけません。工法選び以上に、長期的な支出に差が出ます。

まとめ|迷ったら「工法」ではなく「性能と設計」を見る

  • 木造・鉄骨・RCそれぞれに特徴はある
  • しかし「耐震等級」「構造計算」が安心の本当の基準
  • 断熱・気密性能、メンテナンス性、ランニングコストも工法以上に大切
  • 営業トークやイメージに流されず、客観的な基準で比較することが後悔しない家づくりにつながります

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。

そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

住まいづくりで悩む方々へ

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いい家を建てたいなら、
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