家づくりの打ち合わせで必ず出てくるのが「見積もり」。

しかし、この見積もりを鵜呑みにしてしまい、契約後に「こんなに費用が増えるなんて聞いていない」と後悔される方も少なくありません。その原因のひとつが「付帯工事」です。

一見すると難しい言葉ですが、実は多くの施主が予算オーバーの原因として直面する落とし穴でもあります。

今回は「付帯工事」とは何か、なぜ見積もりに抜けやすいのか、京都での家づくりにおいて特に注意したいポイントを紹介します。

「付帯工事」には2つの意味がある

まず知っておきたいのは、「付帯工事」という言葉の意味が一つではないことです。

建設業法での付帯工事

法律上は、主たる工事に付随する小規模な工事を「付帯工事」と呼びます。例えば建築一式工事に関連して行われる補助的な工事を指し、法律用語としてはシンプルです。

住宅実務での付帯工事

しかし実際の家づくりで工務店やハウスメーカーが使う「付帯工事」は、法律的な意味とは少し違います。建物本体工事には含まれないものの、実際には暮らしに必要となる工事を指すことが多いのです。

代表的な例を挙げると、

  • 地盤調査・地盤改良工事
  • 解体工事(建て替えの場合)
  • 外構工事(駐車場・フェンス・庭など)
  • 照明・カーテン・エアコン設置
  • 登記費用や引っ越し費用

これらは「家そのものを建てる工事」ではないため、本体価格に含まれないことが多いのですが、実際にはほぼ必須です。

見積もりに潜む「付帯工事」の落とし穴

多くの方が陥るのは、見積もりに記載されている「本体価格」だけを見て安心してしまうことです。

契約後に「外構工事は別途です」「解体費用は含まれていません」と告げられ、最終的に数百万円規模で増額するケースも珍しくありません。

さらに厄介なのは、工務店ごとに「付帯工事にどこまで含めるか」がバラバラなこと。

ある会社ではカーテンが含まれているのに、別の会社では別途。外構が一部だけ含まれる場合もあります。

単純に「坪単価が安いから」と契約してしまうと、後で思わぬ出費に直面するのです。

京都で特に注意したい付帯工事

京都という地域性を考えると、付帯工事のリスクはさらに高まります。

狭小地や古家付き土地

解体費用が通常よりも高額になることがあります。周囲の建物に接している場合や、道が狭いエリアでは重機が入れず、手作業での解体になり、費用がかさみます。

景観条例の影響

京都市では外壁や屋根の色に制限がある地域が多く、指定の素材や塗料を選ばざるを得ないケースもあります。その結果、標準的な工事よりも費用が上乗せされることがあります。

古い宅地での地盤改良

古くから宅地として使われている土地では、地盤調査の結果「改良が必要」と判断されることが少なくありません。改良費用もまた数十万~百万円単位で発生します。

付帯工事で後悔しないために

付帯工事をめぐるトラブルを避けるために、次の3つを意識しましょう。

  1. 契約前に質問する
    「この見積もりに含まれていない工事は何ですか?」と必ず確認する。
  2. 総額で比較する
    坪単価や本体価格ではなく、「総額」で他社と比較する。
  3. 地域特有の条件を確認する
    京都ならではの狭小地や景観条例の制約を、事前に工務店と共有しておく。

まとめ

「付帯工事」という言葉を理解せずに家づくりを進めてしまうと、最終的に「予算が合わない」という後悔に繋がります。

本体価格はあくまで一部に過ぎず、実際に暮らすためには付帯工事が欠かせません。

特に京都では、土地の条件や条例の影響で追加費用が発生しやすいため、契約前に「総額」で把握することが重要です。

予算計画をしっかり立てることで、安心して家づくりを進めることができます。

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。

そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

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