
省エネ住宅と聞くと、高効率なエアコンや給湯器を導入した家を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、家庭の光熱費の大部分は「暖房」と「給湯」が占めています。つまり、本当に光熱費を抑えたいのであれば、設備の性能以前に「そもそもエネルギーを使わなくて済む家」を目指すことが重要です。
この記事では、光熱費の浮く家の考え方と、省エネ住宅の本質について整理します。
光熱費が下がらない家に共通する考え方

光熱費が思ったほど下がらない家には、いくつか共通点があります。
設備性能に頼りすぎている
高効率な暖房機器や給湯器は、確かにエネルギーを効率よく使えます。
ただし、それは「使うこと」が前提です。暖房を長時間つけ続けたり、大量のお湯を日常的に使っていれば、効率が良くても光熱費はかさみます。
設備はあくまで補助的な存在であり、根本的な解決策にはなりにくいのが現実です。
大きな割合を占める部分を見直していない
照明をLEDに替えたり、家電の待機電力を減らしたりすることも大切ですが、光熱費全体に与える影響は限定的です。
家庭エネルギーの多くを占める暖房と給湯に目を向けない限り、「劇的に下がる」感覚は得にくいでしょう。
光熱費の浮く家=“エネルギーを使わない家”という考え方

では、光熱費が本当に浮く家とはどのような家なのでしょうか。
暖房エネルギーをほとんど使わなくても寒くない家
断熱性が高く、隙間の少ない家では、外の寒さが室内に伝わりにくく、暖まった空気も逃げにくくなります。
その結果、暖房を入れなくても室温が大きく下がらず、暖房に頼る時間そのものが短くなります。ここで大切なのは「暖房ゼロを目指す」というより、「暖房に依存しない状態に近づける」ことです。
給湯エネルギーの負荷が極端に少ない家
給湯も同様で、お湯を大量に使う前提では光熱費は下がりません。
ポイントは、お湯を無駄にしない仕組みをつくることです。断熱性の高い浴槽でお湯が冷めにくくする、配管を短くして湯待ちや捨て湯を減らすなど、住宅の設計段階で給湯負荷を小さくできます。
給湯器の性能以上に、「ロスを出さない家」であるかどうかが重要です。
「ゼロ」は理想、目指すのは“限りなく少なく”

暖房ゼロ、給湯負荷ゼロという言葉は理想像を示していますが、現実には完全に使わない生活を目指すものではありません。
寒い日は暖房を使い、必要な分だけお湯を使うことは当然です。ただし、日常的に大量のエネルギーを消費しなくても快適に暮らせる状態をつくることが、省エネ住宅の本質です。
住宅性能は暮らしの自由度を高める
エネルギーに頼らない家は、我慢を強いる家ではありません。室温が安定し、光熱費の心配が少ないことで、暮らしの選択肢が広がります。
将来エネルギー価格が上がっても影響を受けにくい点も、大きなメリットです。
まとめ
光熱費の浮く家とは、最新設備をたくさん入れた家ではなく、暖房や給湯を「使わなくて済む方向」に設計された家です。
省エネの本質は効率ではなく構造にあります。これから家づくりを考えるなら、まず「どれだけエネルギーに頼らず暮らせるか」という視点から住まいを見直してみてください。
それが、長く快適で家計にもやさしい住まいへの第一歩になります。
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この記事を書いた人

中川 高士
京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。
実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。
2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。
【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員
「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。
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