光熱費が上がり続けるなか、「一戸建てでは光熱費がどこにどれくらい使われているのか」を具体的に知っている人は大変少ないと思います。

また、公的なデータは全国平均が中心で、地域や住宅の違いまで細かく把握することは難しいのが現状です。

そこで、まず全国データを根拠に「家庭のエネルギー消費の傾向」を整理し、そのうえで京都市の気候特性を踏まえた「一戸建ての想定モデル」を紹介します。

京都で住まいづくりを考える際の参考にしてみてください。

全国データから見える光熱費の傾向

家庭で使用するエネルギーには、電気・ガス・灯油などがありますが、その使われ方には明確な傾向があります。

給湯・暖房・冷房が大部分を占める

環境省の統計などによると、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占めるのは「給湯」「暖房」「冷房」です。

特に給湯は年間を通して使用されるため、エネルギー消費の約3割に達するケースが多いとされています。暖房や冷房は季節の影響が大きく、冬と夏に集中するのが特徴です。

また電力消費の内訳を見ると、暖房・冷房・給湯以外にも冷蔵庫や照明など日常的な家電が一定割合を占めます。それでも、家庭の光熱費を大きく左右するのは、やはり“お湯”と“空調”です。

光熱費は住宅の性能や地域性でも変わる

暖房や冷房の使用量は住宅の断熱性、地域の気候、世帯人数などで変わります。全国平均では見えない“地域差”がある点を前提に、次に京都市の特性を見ていきます。

京都市の気候と光熱費の関係

京都は年間を通して気温差が大きく、冷暖房の負担が増えやすい地域です。

夏は蒸し暑く、冬は底冷えが厳しい

京都市は盆地に位置し、夏は熱がこもって非常に蒸し暑くなります。

一方で冬は冷え込みが強く、「底冷え」と表現されるほど体感温度が低く感じられます。この気候条件は、冷暖房使用量が全国平均より増えやすい要因になります。

一戸建てではさらに冷暖房負荷が高まりやすい

一戸建て住宅は集合住宅より外気に触れる面が多く、温度変化の影響を受けやすい特徴があります。

建物の断熱性が十分でない場合、暖房エネルギーが多く必要になる傾向があります。また浴室やキッチンが広い場合は給湯量も増えるため、光熱費に直接反映されます。

京都市での光熱費内訳の“想定モデル”

京都市の用途別光熱費を示す公式統計は存在しないため、全国の傾向に地域特性を掛け合わせた「想定モデル」を紹介します。

京都市の一戸建てで想定される内訳

  • 暖房:25〜30%
  • 冷房:10〜15%
  • 給湯:25〜30%
  • その他(照明・家電・調理など):25〜35%

京都の寒暖差の大きさから、暖房・冷房の割合は全国より少し高めに見込まれます。一方で給湯の割合は地域に影響されにくいため、全国平均同様に大きな割合を占めると考えられます。

家庭によって割合が変わる理由

・断熱・気密性能の差
・暖房方式(エアコン・ガス・床暖房)
・給湯器の種類(ガス給湯器・電気温水器・エコキュート)
・家族人数や生活スタイル

特に京都では、冬の暖房方式が光熱費に与える影響が大きくなりがちです。

光熱費を抑えるためのヒント

光熱費の構造が分かると、改善しやすいポイントも見えてきます。

給湯の見直しは効果が大きい

給湯は一年中必要なため、効率の良い給湯器や保温性の高い浴槽の採用で大きな削減が期待できます。

京都の冬には断熱の強化が有効

窓の断熱性を高める、気密性能を整えるなどの対策は暖房費を大きく下げる可能性があります。

夏の冷房負荷を抑える工夫も重要

日射遮蔽、風の通り道の設計、遮熱カーテンなども効果的です。

まとめ

全国データを見ると、家庭の光熱費の大部分を占めるのは給湯・暖房・冷房であることが分かります。

京都市の一戸建てでは気候特性から冷暖房の割合が高くなる傾向があります。

本記事の内訳は想定モデルではありますが、光熱費の構造を理解することで、省エネ対策や住宅性能の見直しに役立つと思います。

自分の住まいの状況に照らし合わせながら、無理のない光熱費の最適化を考えいきましょう。

《出典》
・資源エネルギー庁「エネルギー白書 2023」家庭部門エネルギー消費内訳(給湯28.7%、暖房26.3% など)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/html/2-1-2.html

・環境省「家庭部門のCO₂排出実態統計調査」年間エネルギー消費量・光熱費データ
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/energy/detail/01/

・JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)「家庭のエネルギー消費データ」
https://www.jccca.org/_bosys/wp-content/uploads/2020/10/pamphlet_green05_data01.pdf

京都市で家を建てるなら地元の工務店へ

京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。

そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。

あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

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