
ホームセンターには多くの接着剤やコーキング材が並んでおり、手軽に購入できるためDIY初心者でも取り入れやすい材料です。
しかし、見た目が似ているからといって適当に選んでしまうと、仕上がりが悪くなったり、数日で剥がれたり、最悪の場合は水漏れや劣化を招くことがあります。
接着剤やコーキング材は種類ごとに特性が大きく異なるため、適切に選ぶことが非常に重要です。では一体どんな接着剤やコーキングを購入すれば良いのか。簡単に紹介いたします。
接着剤・コーキング材の種類と役割の違い
接着剤やコーキング材は「どんな素材に使うか」「どんな環境で使うか」によって選ぶ種類が変わります。
接着剤は“素材との相性”が最も大切
木材用、金属用、プラスチック用など、素材によって適した接着剤は異なります。
たとえば、木工用ボンドは水性で木材同士には強力に接着しますが、プラスチックや金属にはほとんど効きません。
また、“万能接着剤”と書いてあっても、全ての素材に完璧に使えるという意味ではなく、用途が限定されている場合があります。
素材との相性を無視すると、固まらない・剥がれる・変色するといった不具合が生じます。
コーキング材は“環境と性能”で選ぶ
コーキング材には、シリコン系、変成シリコン、ウレタン、アクリルなどさまざまな種類があります。
水まわりには防水性が高いシリコン系が適していますが、シリコンは上から塗装できないため、外壁補修には向きません。
一方、アクリル系は塗装しやすいものの耐水性が低く、浴室には不向きです。
このように、使用する場所や必要な性能によって選ぶべき種類が大きく変わります。
よくある“失敗例”とその原因

ホームセンターでよく起こる失敗の多くは、材料の選び違いや下地処理不足が原因です。
素材に合わない接着剤で「すぐ剥がれる」
プラスチックに木工用ボンドを使ってしまう、金属に水性接着剤を塗ってしまうなど、素材と接着剤の相性が合わないことで発生する典型的な失敗です。
力が加わる場所では特に剥がれやすく、見た目はきれいでも強度が出ない場合があります。
水まわりに不向きなコーキング材で「カビ・剥離」
浴室やキッチンの隙間補修にアクリル系コーキングを使うと、数日〜数週間で剥がれたりカビが発生したりします。
水まわりは湿気が多いため、耐水性の高い材料でないと長持ちしません。誤った材料選びが、水漏れや腐食など大きなトラブルにつながることがあります。
既存のシリコン上に塗って「密着不良」
シリコン系コーキングは、表面に油膜が残るため塗装できません。
また、古いコーキングを除去せずに重ね塗りすると、すぐ剥がれる、浮き上がるといった症状も発生します。下地処理を怠ることで多く起こる失敗例です。
外部に弱い材を使って「早期劣化」
耐候性の低い材料を外部で使うと、紫外線や雨風の影響で早く劣化します。
ひび割れや変色が起こり、補修を繰り返すうちに費用が増えてしまうこともあります。外壁に使う場合は“屋外対応”“耐候性あり”の表示が必須です。
失敗しないための材料選びと施工のポイント

適切な材料を選ぶことはもちろん、施工前の準備も仕上がりを左右します。
用途・素材・環境の3点を必ず確認する
「どこに使うのか」「何を接着・充填するのか」「屋内・屋外・水まわりのどれか」等々整理することで、必要な性能が明確になります。メーカーの説明書きには細かな条件が記載されているため、パッケージをよく読みましょう。
下地処理は“完成度を左右する大切な工程”
油分、ホコリ、水分が残っていると密着不良を起こします。古いコーキング材は完全に取り除き、乾いた状態で施工することが必要です。
仕上がりの美しさと耐久性は、下地処理で大きく変わります。
量や価格だけで選ばない
安くて量が多いものを選びたくなりますが、性能が足りないと結局すぐ補修が必要になります。
耐水性・耐熱性・耐候性など、必要な機能を満たした材料を選ぶほうが長期的には経済的です。
まとめ
接着剤やコーキング材は、見た目が似ていても性能や用途がまったく異なります。
素材との相性、水まわりの適性、下地処理の有無などによって仕上がりが大きく変わります。
誤った選び方は、剥離・水漏れ・カビ・早期劣化といったトラブルの原因となります。購入前に用途と環境をしっかり確認し、迷った場合は専門家に相談することで、安心して長持ちする補修が可能になります。
住まいを長く大切に使うためにも、正しい材料選びを心がけてみてください。
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この記事を書いた人

中川 高士
京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。
実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。
2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。
【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員
「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。
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