冬になると窓の結露が気になるという声はよく耳にします。

しかし、結露は正しい知識がないまま対策をすると、逆にカビを増やしてしまうことがある現象です。そもそも結露は「空気が保持できる水蒸気量を超えたときに発生する」物理現象であり、仕組みを理解しないと適切な対策は難しくなります。

この記事では、結露が起こる科学的な理由や、実は逆効果な対策、正しい向き合い方をわかりやすく解説します。

結露は“物理現象”|まず仕組みを理解する

結露対策を考える前に、なぜ結露が発生するのかを知ることが大切です。

結露は「露点温度」を下回ったときに発生する

空気は温度によって含むことのできる水蒸気量(飽和水蒸気量)が変わります。

暖かい空気ほど多くの水蒸気を含めますが、空気が急に冷えると保持できる水蒸気量が減り、余った水分が水滴に変わります。

窓や金属部分のような冷たい面に空気が触れると、表面温度が露点以下になり、結露となって現れます。

気密性の高い住宅は“湿気が逃げにくい”

「気密性が高い家は結露しやすい」というのは誤解ですが、湿気管理を誤ると結露を起こしやすくなるのは事実です。

気密性が高い住宅では外気との隙間風が少なく、湿気が室内に滞りがちです。

本来は24時間換気で湿気を排出する前提の建物ですが、換気を止めたり給気口を閉じると、湿気が逃げ場を失い結露が起こりやすくなります。

結露がカビに直結する理由

カビは湿度60%を超えると急激に繁殖し、結露は局所的に湿度を一気に引き上げます。

窓枠や壁紙の裏、カーテンの裏側などは湿った状態が続きやすく、カビが広がりやすい環境になります。結露を放置すると見えない場所でカビが進行し、住まいの寿命にも影響します。

実は逆効果!やりがちな“誤った結露対策”

科学的に見ると、多くの家庭で行われている“結露対策”が、実は結露を悪化させていることがあります。

窓の「少し開け」は湿気が逃げにくい

外気温が低い冬は、少し窓を開けても十分な換気ができません。

室内の暖かい空気が冷えて露点に近づくため、結露が減らないことがあります。短時間の自然換気だけでは必要な空気交換量に届かず、湿度が下がらないのが原因です。

加湿器の使いすぎ

「湿度が高いと暖かい」という理由で加湿器を強めに使うと、室内の水蒸気量が限界に近づきます。

特に寝室で加湿器が窓際にあると、蒸気が冷たい窓に触れて結露を悪化させます。湿度の目安は40〜60%で、これを超えるとカビリスクが急増します。

結露防止シートを貼りっぱなし

窓に貼るシートは一定の効果がありますが、貼りっぱなしだと裏側に湿気がたまりカビの原因になります。

また、断熱性能が低いシートの場合、窓の表面温度が十分に上がらず結露は減りません。根本的な対策には、温度差をなくす工夫が必要です。

正しくできる“科学的な結露対策”

結露を防ぐには、物理的な仕組みに合わせた対策が欠かせません。

湿度管理が最優先(40〜60%を維持)

どれだけ断熱しても、湿度が高ければ結露します。湿度計を使って数値を確認しながら、調理・入浴後は換気扇をしっかり回しましょう。

観葉植物や室内干しも湿度を上げるため、状況に応じて場所を工夫することが大切です。

換気は「時間」ではなく「量」で考える

冬は寒さを気にして換気を控えがちですが、換気不足は大きな結露要因です。

24時間換気を止めないことはもちろん、給気口を閉じず、新鮮な空気が入る流れを確保しましょう。短時間でも数回に分けて換気すると効率よく湿気が排出できます。

温度差を減らす(断熱改善)

結露を根本から抑えるには、窓や壁の表面温度を下げないことが重要です。

内窓の設置は効果が高く、断熱カーテンや断熱ブラインドも有効です。結露が出やすい窓枠はこまめに拭き取り、湿った状態を残さないことも大切です。

まとめ

結露は空気の温度と湿度で決まる明確な物理現象であり、正しい理解が欠かせません。

気密性の高い住宅は湿気管理を誤ると結露しやすくなり、逆効果の行動(少し開ける、加湿しすぎ、シート頼り)は結露を悪化させることがあります。

科学的に正しい結露対策は、湿度管理・換気量の確保・断熱の3つが鍵です。今日からできる行動として、まずは湿度計の導入と24時間換気の見直しをしてみましょう。

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あまねこう代表のプロフィール

この記事を書いた人

中川 高士

京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。

実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。

2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。

【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員

「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。

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