
家づくりを検討する人にとって、「木造・鉄骨・RCのどれが一番地震に強いのか?」という疑問はよく耳にします。
たしかに構造ごとに特徴はありますが、実は耐震性能を左右するのは構造の種類そのものではありません。
本当に重要なのは「耐震等級」と「構造計算」の有無です。これを理解しておかないと、安心できる家づくりから大きく外れてしまうことになります。
構造の違い=耐震性能の差ではない

「木造は弱い」「RCは強い」といったイメージを持つ方は少なくありません。
しかし、これは半分正解で半分誤解です。
なぜなら、設計や施工の方法によって耐震性能は大きく変わるからです。つまり構造の種類だけで耐震性を判断するのは危険であり、もっと本質的な視点が必要になってきます。
耐震等級とは?
耐震等級は、建物がどの程度の地震に耐えられるかを示す指標で、建築基準法の耐震基準をもとに等級1から3までの段階があります。
等級1は法律で定められた最低基準で、震度6強〜7程度の地震で倒壊・崩壊しないレベル。
等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の強さを持ちます。
等級3は消防署や警察署など防災拠点となる建物にも求められるレベルで、一般住宅であっても安心して暮らすためには等級3を選ぶのが望ましいと言えます。
構造計算の重要性
もう一つ重要なのが「構造計算」です。木造2階建て、かつ200m2以下の住宅は法律上、詳細な構造計算が義務づけられていません。
そのため多くの住宅は「仕様規定」と呼ばれる簡易的な基準に基づいて建てられています。しかし、構造計算を行えば柱や梁の太さ、耐力壁の配置などを数値的に確認でき、地震に対してどの程度の強度があるかを科学的に把握できます。
構造計算をしている工務店と、していない工務店とでは安心感に大きな差が生まれるのです。
京都での耐震を考える視点
京都は地震リスクが低いと思われがちですが、実際には複数の活断層が走っており、南海トラフ地震の影響を受ける可能性も指摘されています。
特に昭和56年(1981年)の新耐震基準以前に建てられた住宅は、耐震性能が不十分な場合が多いです。
また京都市内の狭小地や町家の建て替えでは、構造上の制約が大きいためこそ、構造計算をして耐震性をしっかりと確かめることが重要になります。
施主が確認すべきポイント
では、施主として何を確認すれば良いのでしょうか。
まず見積もりや契約の段階で
「耐震等級はどのレベルか」
「構造計算を行うのか」
を必ず質問してください。
「うちは大工だから大丈夫」と経験則だけで判断する工務店には注意が必要です。数字とデータで証明される耐震性能こそが、家族を守る本当の安心につながります。
まとめ
家づくりにおいて耐震性能は最優先で考えるべき要素です。
木造・鉄骨・RCといった構造の違いだけでは、本当の安全性は判断できません。大切なのは「耐震等級」と「構造計算」。この2つを確認することで、地震に強い家を実現できるのです。
京都のように地震リスクを無視できない地域では、なおさらこの視点が欠かせません。構造よりも本質を見極めることが、後悔しない家づくりの秘訣です。
京都市で家を建てるなら地元の工務店へ
京都での家づくりには、少し気をつけておきたい地域特有の事情があります。
たとえば「景観条例」に代表される独自のルールや、道幅が狭く土地の形が複雑な場所が多いことなど、他の地域とは少し異なる条件があるためです。
そうした背景をふまえると、地元での経験が豊富で、京都の家づくりに慣れている工務店を選ぶことが、安心につながるポイントになってきます。
土地や法規制に合わせたご提案や、現場でのスムーズな対応など、地域をよく知る工務店だからこそできることがあります。
この記事を書いた人

中川 高士
京都産業大学卒業。
2024年、京都府向日市より「向日市固定資産税評価委員会」委員を拝命。
実家が工務店という環境で育ち、幼少期から建築の世界に親しむ。
大手ハウスメーカー、地域ビルダー、そして社員一人の小規模工務店まで、28年以上にわたり幅広い建築会社で経験を積む。
営業職からスタートし、各社で現場管理・事業マネジメントまでを担い、建築の全体像を深く理解するに至った。
2023年に独立し、現在は「営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー」として活動中。
【保有資格等】
・建築物石綿(アスベスト)含有建材調査者
・愛犬家住宅コーディネーター
・ホウ酸施工管理技士
・空気測定士
・向日市固定資産税評価委員会委員
「家を建てる」だけでなく「暮らしをつくる」ことを大切に、自然素材を活かした住まいづくりを提案している。
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