断熱材の性能の見分け方を簡単に解説します|知っておくと安心のチェックポイントとは

 京都市西京区で注文住宅・リノベーションを手がける「あまねこう」の中川です。高性能な省エネ住宅が当たり前の時代になってきました。

 2025年には一定水準の性能が義務になり、2030年には更にその上の基準が義務になります。

 「省エネ住宅=高気密高断熱住宅」みたいな風潮もあり、みなさんにとっては判断が難しいと思います。そんなわけで、断熱材の注意ポイントを少し紹介いたします。

▶︎断熱材ってそもそもなに?

 マイホームを考える方にとって断熱材の種類などはネットのおかげで身近になったように感じます。

 ロックウール、グラスウール、セルロースファイバー、スタイロ、などなど知っている用語もあるのではないでしょうか。

 ですが、断熱材が何かということはプロでも即答できない人もいます。いったい断熱材とはなんでしょうか。簡単に書くと、「熱の移動をゆっくりにしてくれる建材」です。

 熱の移動を緩やかにしてくれる部材なので、建物に断熱材が施工されていても、熱源が家の中になければ時間が経つと外と中の温度は同一温度になります。熱を遮断するわけではありません

▶︎分厚い断熱材が良い!という誤解

 一昔前、断熱は分厚い方が良い!みたいに宣伝している住宅会社が山ほどありました。現在はネットも普及して以前ほどではないですが、一部の勉強不足の工務店さんなどではまだそう信じている人もいるようで驚きます。

 平成11年に省エネ基準が大きく変わりました。この際に断熱材の厚みを売りにして台頭した住宅会社があります。

 新基準に到達していたわけではないのですが、新基準をクリアしている会社の断熱材より「分厚い」と宣伝したのです。詳しいことはともかく、断熱性能は厚みだけで決まりません。

▶︎緩やかな熱の移動の性能を「熱伝導率」と言います

 断熱材にはそれぞれ「熱伝導率」という性能が記載されています。これは「熱の移動が緩やかですよ」という数値です。小さければ小さいほど良い数字です。例えば、

断熱材A:熱伝導率 0.052 単位省略
断熱材B:熱伝導率 0.028 単位省略

この場合は断熱材Bの勝ちです。

▶︎熱抵抗率という性能値も知っておこう

 断熱材の性能を表す数値に熱抵抗率というものがあります。熱抵抗率は厚みを換算した熱の移動の割合だと思ってください。

 抵抗値なので数値は大きいほど高性能。計算は単縦で、厚みを熱伝率で割り算します。例えば、

100mm=0.1mとして

断熱材A:0.10 ÷ 0.052 = 1.92
断熱材B:0.075 ÷ 0.028 = 2.67

 となります。75mmの断熱材の方が圧倒的に数値が高いですね。

 さすがに最近は厚みだけを謳って営業している会社を見ることは少なくなりましたが、つい最近まで「我が社の壁の断熱材の厚みは100mm以上です」と言って営業している会社があったのは事実です。

 断熱性能は熱抵抗だけで決まるものではありません。が、断熱材の基本的な知識として知っておいてもらえれば役に立つと思います。この記事を読んだみなさんはもう騙されないと思います。

この記事を書いた人

中川 高士:あまねこう代表

営業から現場管理までこなす建築マルチプレーヤー。実家は工務店。幼少より建築に触れながら育つ。大手ハウスメーカー、地域ビルダー、社員一人の工務店まで経験。営業マンからスタートし、それぞれの企業で事業マネジメントまで行う。2023年に独立。「愛犬家住宅コーディネーター」「ホウ酸施工管理技士」「空気測定士」など暮らしスタイルに必要な資格を活かし「家」ではなく「住まいづくり」というサービスの提供に力を入れている。